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脳は知識を整理して使える形に作り変える

 何事においても、技術を上達させるにはやはり多くの練習が必要です。

 しかし、長く一つの目標に対して努力を続けてきた人ならわかると思いますが、技術というものは、練習や訓練の量に伴って「直線的」に上達していくわけではありません。

 必ず途中に何度か停滞する時期があります。

 そこを乗り越えて初めて上のレベルへと到達することができるのです。

 これには例外はなく、誰でも同じ道をたどることになります。

 この上達の仕方をグラフにすると次のような形をとります。

 はじめのうちは、技術も基本的な内容で比較的簡単なので急激に上達していきます。この時期は、練習や訓練も楽しく感じられるかもしれません。

 ところが初心者の段階を卒業し、ある程度の時間が過ぎてくると上達度を表す線は徐々になだらかになってきます。

 なぜならレベルアップするためには、習得しなければならない、それまで以上に難しい知識や技術が徐々に増えていくからです。

 このように何かが上達していくときには、必ず階段状の上がり方になります。

 習う種目の難易度や個人の能力差によって、グラフの幅や角度は一定ではありませんが基本的な形状は誰でも共通です。

 よく見ると途中で階段の踊り場のように平らになっている部分がありますが、この平らな部分のことをプラトー(学習高原)と呼びます。

 この時期はどんなに練習を重ねても、本人にとっては技術が少しも伸びていかないためとてもつらい時期なのです。

 この上達曲線の考え方は、当然勉強にも当てはめることができます。つまり、勉強時間に対する成績の上がり方とも見て取れるのです。

 この上達曲線のことを知っているか知っていないかでは、勉強を続けていくうえで結果にとても大きな違いを生むことになります。

 上達曲線の仕組みを知らないと、目標に向かって的はずれな努力をしてしまう可能性だってありえるのです。

 勉強において、プラトーの期間は、知識は頭には入っているのだけれど、それをすぐに取り出すことができない、またはうまくその知識を使いこなせない時期にあたります。知識の扱いがぎこちないため、成果が出にくいのです。

 本人としては停滞しているように感じてしまいますが、この時期は脳にとって非常に重要な期間です。

 このプラトーの期間中、脳は知識を整理して使える形に作り変える作業を行っています。この知識の熟成期間を経ることで、頭の中の知識は使える知識として整理された形になるのです。まるできちんと整理された本棚のように、必要なものもすぐに探すことができます。

 応用が利き、思考速度も速くなるため成績も一段上げることができるのです。

 怖いのはプラトーに対する無知により、そこであきらめてしまうことです。

 プラトーが来たらあせることなく、反対に、「プラトーがきたぞ! この後、必ず成績が上がる前兆だ!」と喜んでこの時期を乗り越えてください。

天才にもおとずれるプラトーの正体とは?