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どうしたら、意識を変えることができるのか

 私は昔から少し心配性なところがありまして、普段から「何かよくないことが起こるんじゃないか」などと考えがちなタイプでした。

 電話がかかってきても、反射的に「悪い知らせではないか」と思ったりして、電話に出ることもあまり好きではありませんでした。

 基本的にそういう性格ですから、40代に入ってから始めた記憶競技でも「自分の現状を打破するためのチャレンジ」という意気込みで始めたにもかかわらず、まだ一度も参加していないうちから、「箸にも棒にもかからない結果だったらどうしよう」なんて考える始末でした。もし成績がよくなかったら格好が悪いので、やはり大会への挑戦はやめておくか、なんて考えるときも多々ありました。

 これではいけないと思い、なぜそういう思考に陥るのか自分の心理を冷静に分析してみると、そこには無意識の中に隠れていたある意識があったのです。

 表面上は「今の自分の置かれている状況には満足できない。一段上のステージに上がりたい」などと言っておきながら、潜在意識は、現在の環境を心地がよい場所と認識していたのです。

 無意識のうちに、自分でその安全で安心な場所から抜け出すのを拒んでいたのです。

 どうしたら、意識を変えることができるのかをいろいろ考えました。

 そして、「何かよくないことが起こったらどうしよう」と考えるのは、自分の意識の位置を高いところに置いているからだということに気づいたのです。

 つまり、普段の生活において、「何もマイナスなことが起こらないのが当然」という意識で一段高い位置から物事を見ていたために、そこより下で起こることはすべてよくないことと感じてしまっていたのです。

 それからは、「はじめからよくない状態が普通の状態と思うようにしよう」と意識を切り替えることにしました

 長い人生の中ではいいときばかりではないのが当然なのに、いいところばかりを集中して見ようとします。意識をその位置において生活していると、ほんの少しマイナスな要素にさえ動揺してしまうのです。

 そのため、普段から意識を自身が考える一番低いところに置き、よくない状態が通常と考えておくと、それから起こることはすべて今より「まし」な出来事に変えることができると考えたのです。