新刊『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる勉強法』では、脳の仕組みを活用し、4回連続記憶力日本一、日本人初の記憶力のグランドマスターになった著者による世界最高峰の勉強法を紹介しています。早くも4刷となった本書から、記憶力が左右する試験、資格、英語、ビジネスほか、あらゆるシーンで効果を発揮するノウハウを徹底公開します。
巷でいいとされているブドウ糖やお茶、コーヒーは?
世界記憶力選手権の種目には、制限時間が解答時間まで含めると3時間にもわたるものがあります。その3時間のあいだ、脳をフル稼働させなければなりません。
競技の最中の水分補給が許されているのですが、私も含めほとんどの選手の飲み物が決まっています。
それは「水」です。
私が水を選択しているのは自分自身の経験則からきているのですが、科学的にも脳に対する水分補給の研究があります。
それによると、80%が水分でできている脳にとってわずかな水分バランスの変化でも知的パフォーマンスのレベルにかなり影響を与えるのだそうです。
一方で、水だけで知的パフォーマンスが向上するなら糖分が入った飲み物ならさらに効果が高いのでは、と考えるかもしれません。
確かにブドウ糖は脳の栄養です。当然、補給すると脳のパフォーマンスも高まります。しかし勉強の最中など、脳の活動が活発のときにはなるべく控えたほうがよいと私は考えます。
糖質自体を否定しているわけではなく、問題にしているのは糖質を摂ったときの血糖値の上がり方なのです。
甘い飲み物に含まれている糖質は血糖値を急上昇させます。急上昇した血糖値は急降下するように体はできています。
血糖値が急降下すれば集中力は低下し、思考力にも影響を及ぼすのです。
ブドウ糖はやはり、食事から摂るのが基本と考えたほうが賢明のようです。
それでは、お茶やコーヒーなどのカフェイン飲料はどうなのでしょうか。
近年の研究により、カフェインに脳の機能をアップさせる効果があることがわかってきました。集中力や注意力を高め、記憶力がアップする効果もあるようです。
ただしそれは摂りすぎなければ、という条件付きです。
一日のカフェイン摂取には適量があり、その量を超えると今度はメリットよりもデメリットのほうが大きくなってしまうのです。
過剰なカフェインは不安感の増大や短期記憶の低下をもたらし、また脳の疲労を引き起こす原因にもなるようです。
以上のことを考慮すると、勉強中に関しては水やノンカフェインのお茶などで水分補給をし、カフェインの入った飲み物は勉強前に飲むほうが無難のようです。勉強中の食べ物に関しても、飲み物と同様の考え方が適用できます。
もし、勉強中に血糖値が下がりすぎると集中力は低下します。そこで適度にブドウ糖を補給したいのですが、食べ物の中には血糖値が上がりやすいもの、上がりにくいものが存在します。
ならば血糖値が上がりにくい、つまり徐々に上がっていく食べ物を探せばよいのです。
それがアーモンドやクルミ、カシューナッツなどのいわゆるナッツ類です。
ナッツは糖に変化する物質、炭水化物の量が少なく、タンパク質が多く含まれています。また、ナッツに多く含まれている不飽和脂肪酸は脳が元気に働くための重要な栄養素です。
私も実際、記憶競技の大会には毎回ナッツを持参していました。
一度にたくさん食べるのではなく、小腹がすいたと感じたときに少しずつ食べるようにして血糖値の調整をしていました。
皆さんにも勉強時間中の水分補給には「水」、空腹時には「ナッツ」がおすすめです。