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脳にまかせる勉強法
【第21回】 2017年6月17日
著者・コラム紹介バックナンバー
池田義博

本番で失敗しないための「心拍数トレーニング」とは

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緊張する状況に、脳を慣れさせておくには?

 私が記憶力競技を始めたばかりの頃の話です。

 記憶競技の仲間内の練習会に自信満々で参加したことがあります。ところが蓋を開けてみると、過度の緊張から結果は散々だったことがありました。

 サッカー界でよく聞く言葉に、ホームとアウェイがあります。ホームとは自分のチームの本拠地(スタジアム)、アウェイとは相手チームの本拠地という意味です。

 アウェイではさまざまなプレッシャーによる緊張から有利に戦うのが難しいというのが、サッカー界での常識です。

 サッカーの試合に比べれば、参加者は皆顔見知りでしかも数人だけというゆるい状況だったにもかかわらず、そのときの私はアウェイを感じて緊張してしまったのです。

 過度の緊張は、脳のパフォーマンスを著しく低下させることを実感した瞬間でした。

 そして対策として行ったのが、「心拍数トレーニング」だったのです。

 緊張とは、心拍数が過剰に高くなった状態ともいえます。本番でいきなりこの状態になってしまったら対応するのは困難です。緊張がさらに緊張を呼んでしまいかねません。

 そうなると脳が非常事態を宣言し、思考能力を低下させてしまうのです。

 試験本番を落ち着いて迎えられたら、それに越したことはありません。

 仮に緊張して心拍数が上がってしまったとしても、その状態に慣れていれば過剰な反応を抑えることができます。

 つまり、心拍数が高い状態で勉強をスタートすることに脳を慣れさせておくのです。すると本番で心拍数が上がったとしても脳はいつもの状態だから問題ないと判断し、平静な状態に戻してくれるのです。

 具体的な方法を説明します。

 まず、簡単に昇り降りができるくらいの低い台を用意します。台がなければ家の中にある階段などの段差でも構いません。

 それらを使い、踏み台昇降運動を行います。踏み台昇降運動とは、台や段差に対して昇り降りを繰り返す運動です。

 目的は、あくまでも通常の心拍数より少しだけ高い状態にすることです。

 要するに疑似緊張状態を強制的に作るというわけです。

 過度の運動は体にとってかえって危険ですので、あらかじめ適度な心拍数になる条件を見つけておきます。運動時間を1分ぐらいから始めて、心拍数が100回/1分を超えない程度を目安にするようにしてください。

 また心臓に疾患などがある方は、この方法は行わないようにしてください。

 そうして通常よりも多少心拍数が上がった状態になったところで、いきなり勉強に入るのです。心拍数が収まるのを待たずに、上がっている状態のままで勉強を始めてください。

 緊張から上がった心拍数ではないため、時間が経つにつれ自然に通常値に下がっていきます。これを繰り返して脳を慣らしていくのです。

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池田義博(いけだ・よしひろ)

一般社団法人日本記憶能力育成協会会長。
大学卒業後、大手通信機器メーカーにエンジニアとして入社。その後、学習塾を経営。 塾の教材のアイデアを探していたときに出合った記憶術に惹かれ学び始める。このとき、記憶力を競う記憶力日本選手権大会の存在を知り出場を決意。独学での 練習の末、初出場した2013年2月の大会で優勝し記憶力日本一となる。その後、14年、15年と3連覇。17年も優勝し、出場した4回すべて記憶力日本 一に。
また、13年12月、ロンドンで開催された世界記憶力選手権において、日本人初の「記憶力のグランドマスター」の称号を獲得する。
次の夢は技術としての記憶力を広く世の中に伝え、さまざまな立場の人々の記憶力向上に貢献し、それにより豊かな生活を享受してもらうこと。その活動を使命とし形にするため、一般社団法人日本記憶能力育成協会の設立に至る。
NHK総合「ためしてガッテン」や「助けて! きわめびと」、TBSテレビ「マツコの知らない世界」など、テレビ出演多数。


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