7月24日から日本のテレビ放送は地上デジタル放送に完全移行する。しかし、総務省の発表では、今年6月24日の時点で未対応の世帯が33万5000世帯にも及んでいるという。完全移行日以降、テレビ視聴ができなくなる国民が多数出ることは、どうやら間違いなさそうだ。3月以降、震災報道の陰に隠れて話題が盛り上がらなかった感がある「地デジ」だが、足もとの状況はどうなっているのか。その現状と積み残された課題を検証しよう。(取材・文/プレスラボ・宮崎智之)

気づけばアナログ放送終了まで2週間!?
震災の陰に隠れた「地デジ完全移行」の現状

 2011年7月24日にアナログ放送が終了し、地上デジタル放送に完全移行することは以前からアナウンスされていた。しかし震災騒動の影響もあり、3月以降は当初予想していたよりも話題が盛り上がらなかった感が否めない。

 そんななか、「地デジ完全移行」を頭では理解していても、「遠い未来の話」のように現実味が湧かなかった人も多いのではなかろうか。

 しかし、気づけば「その日」はもう約2週間後にまで迫っている。にもかかわらず、各世帯の地デジ化への対応を見ると、完全に浸透しているとは言えないのが現状だ。

 総務省が今年3月に発表したデータによると、地デジ対応受信機の世帯普及率は94.9%。5.1%に及ぶ世帯が地デジに対応していないことがわかっている。都道府県別に見ると、三重県が97.8%と最も普及しているが、沖縄県は88.9%で最低水準。東京都でさえも95.4%と、対応は決して万全とは言えない。今年6月24日時点で、全国の未対応世帯は、実に33万5000世帯にも及んでいる。

 「各地域の普及率がおおむね8~9割なら、それほど深刻な状況ではない」と考える人もいるかもしれない。しかし、高度経済成長時代以降、テレビは日本人にとって「一家に1台はあって当たり前」のインフラだった。あえてテレビを持たない人を除けば、日本人にとって家のテレビが映らないという状況は、「非日常的」とさえ言えるだろう。