象牙のハンコを買うことが、ゾウの密猟―絶滅にもつながっていく!密猟者対策のパトロールから戻る途中の、保護区のレンジャー(ケニア)

動物保護の寄付金を住民のために使い「監視の目」を!

本庄 私が訪れたのは、シェルターというスタイルではなく、自然保護区で、オル=ペジェタという場所です。広さは、なんと、琵琶湖の半分もあるんです!

石黒 すごい……「東京ドーム算」とケタが変わってしまいましたね(笑)。そこにはサイだけですか?

本庄 いえ、すべて野生で、ゾウ、ライオン、バッファロー、シマウマ、キリンなどに出会えます。そしてこの保護区で実践している、サイを密猟から守る「4つの楯」というものがあります。

石黒 アメリカでも、動物虐待を防ぐための「8つのプロセス」(連載3回目参照) https://diamond.jp/articles/-/129889?page=5 という取り組みがありましたね。

本庄 ええ、それと似た部分もありまして、それは1番目の楯である「住民の目」です。周辺に住む人々が密猟という犯罪が行われないよう監視しているのです。保護区からは、寄付金を使って、生活や健康、教育などの支援をして、恩恵を受けている感覚を持ってもらうようにしています。

石黒 その発想は画期的ですね! 動物を守りたい気持ちから生まれる寄付金を、人のために使うことで、結果的には、動物保護に大きな役立つという!

本庄 日本では昔から、ご近所の目、というコミュニティのつながりが犯罪防止になっていたのですが、似ていますね!

石黒 他の3つの楯は? 

本庄 電気フェンスや監視カメラなどの「警備システム」、レンジャー隊員による「パトロール」、飛行機や追跡犬など「非常時の助っ人」です。

石黒 広大な土地を限られたスタッフで守っていくのですから、大変な苦労でしょうね。

本庄 私はここ以外の場所で密猟のワナ探しにも同行しまして、そこでもレンジャーの方々とお話したのですが、熱意とやさしさに打たれました。そしてみなさん、誇りを持って仕事の遂行に努力を重ねているんです。