>>(上)より続く
そして夫が出張中で社内にいないタイミングを見計らって、同僚が女を会議室に呼び出します。信子さんは会議室で待ち構えており、そこで同僚が不倫の目撃談を証言してくれました。「ファミレスで見かけたことがある」と。しかしその時、4人掛けのテーブルに同席していたのは夫と女だけではありませんでした。女より年上の女性、同じ年くらいの男性2人が相席していたのです。「どちらも顔がそっくりだったのでお母さん、お兄さんではないでしょうか?」同僚はさらに追及してくれたのですが、それなら夫と女の親戚筋は顔見知りで周知の仲なのでしょう。さらに同僚は社内で「勝男さんと結婚する!」と女が豪語している姿を見たことがある、と言い添えてくれたのです。
このように女の実家では不倫が公認だということは明らかですが、それだけではありません。過去に信子さんが夫の母親に相談したところ、「駐車場に停めていた車のなかに2人が隠れていたことがある」と言っていたのを思い出しました。母親が不審に思って夫の車の窓をノックすると、すごいスピードで急発進し、その場を立ち去ってしまったそうです。女の脇が甘すぎるのか、わざと見つかるような場所で潜んでいる定かではありません。いずれにしても、女は仲睦まじい姿が人づてで信子さんの耳に入るような振る舞いを繰り返しており、「どういう神経をしているのか」と信子さんは開いた口がふさがらなかったそうです。
心療内科の医療費と
月3万円15年間の慰謝料を要求
これらのエピソードはあくまで氷山の一角ですが、性悪な女はむしろ信子さんに向かって夫との仲を見せびらかしたいくらいでしょうから、「今さら夫との関係をしらばっくれるつもりはないでしょうね!」と信子さんは事実認定に関して言い逃れの余地がないことを、最初のうちに念押しした上で、「けじめのつけ方」について言及したのです。
「ちゃんと責任を取ってよね!月3万円なら何とかなるでしょ?私は15年、苦しんできたんだから、あんたも3万円を15年間、払って同じように苦しんで!!ただ、今月は4万円を足して7万円ね」
信子さんは名目こそ明かさなかったものの、精神的苦痛の対価として慰謝料の支払いを求めたのです。夫からの生活費が毎月12万円から9万円に減っても、女からの慰謝料で3万円を穴埋めすれば何とかなるという計算をした上です。
また信子さんは過去、心療内科に計4万円の医療費(診察代として約2万円、薬代として約2万円)を支払ったそうですが、そもそも女が夫と不貞関係に発展しなければ信子さんは心療内科へ通院し、受診し、薬をもらう必要はなく、女のせいで余計な医療費を支払わざるを得なくなったのです。「女が医療費を負担すべき」と信子さんは思うのは当然で、だからこそ初月は慰謝料に医療費を上乗せしたのです。
実際のところ、今さら夫と女を別れさせたところで、娘さん、息子さんも「父親不在」の生活に慣れきっており、自宅に夫の居場所はありませんし、夫も、どの面下げて戻っていいのか分からないでしょう。信子さんは夫を連れ戻すことはあきらめる代わりに、せめて慰謝料だけは払ってほしい、慰謝料が不倫の「公認料」になっても構わないという覚悟で切り出しました。ところが、女は信子さんと同僚を目の前にして、逆ギレしたのです。