「車から出て8歩以内で店舗に到着」が理想だというコインランドリー。写真はコインランドリーデポ藤沢遠藤矢向店

半径5kmに10店舗!
増殖するコインランドリー

 神奈川県藤沢市の小田急電鉄「湘南台駅」からバスで20分ほど走った「湘南ライフタウン」。藤沢市と茅ヶ崎市にまたがるニュータウンには大きな団地が立ち並び、3万2000人余りが住んでいる。

 その一角に、コンビニエンスストアに併設する形で、いつも賑わっているコインランドリーがある。洗濯機と乾燥機、そしてスニーカー専用の洗濯機まで実に19台がずらりと並ぶ大型のコインランドリーで、40台の乗用車が停められる駐車場まで完備している。

 そんなコインランドリーデポ藤沢遠藤矢向店は、同チェーンの中でも最大の売り上げを誇る。日曜の昼下がりともなれば、隣接する横浜市戸塚区などからも客が訪れてるほどだ。衣類やタオルを洗濯し、乾燥機にかけていた夫婦は、「天気が悪い日が続いたときには、店の中で乾燥機待ちの列ができる。空いたと思ったら、すぐに次の人が利用するから混んでいて帰ったこともある」と話す。中には、隣接するコンビニのイートインスペースで洗濯の待ち時間を過ごしたりする人もいるという。

 そんな大賑わいのコインランドリーから目と鼻の先に、今年5月と6月、別のコインランドリーが相次いでオープン。これにより、湘南台駅を中心としたわずか半径5kmのエリアに、じつに10軒の店舗がしのぎを削る形に。まさに、コインランドリー激戦区だ。

 こうした状況は、湘南ライフタウンだけではない。東京近郊では、東京都大田区や江戸川区、足立区、神奈川県でも川崎市川崎区などで、コインランドリーのチェーン店が出店を加速させている。店舗や駐車場の用地取得が容易な地方都市でも、コインランドリーは急増している。

 その結果、店舗数は2013年度で全国1万6693店、03年度からの10年間でじつに3967店舗も増加している(厚生労働省「コインオペレーションクリーニング営業施設に関する調査」)。

 コインランドリーは1970年前後に日本に上陸、80年前後のバブル期は共働き世帯を支え、2000年前後にも拡大、15年から現在にかけてはフランチャイズ(FC)によって4度目のブームを迎えている。