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田中秀征 政権ウォッチ

もし菅首相が「なでしこジャパン」の監督だったら

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
【第92回】 2011年7月21日
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最後まで諦めなかった“なでしこ”に
サッカーの神様が微笑んだ

 “なでしこ”の壮挙が国内だけでなく、世界中に大きな旋風を巻き起こしている。

 なでしこの活躍には、私もこの10年ほど目が離せなくなっているので、深夜の決勝戦もつぶさに観戦した。

 アメリカが先行し、宮間選手が同点ゴールを決めるまでは、もう私は早々に勝利を諦めていた。「負けてもよい」というのではなく、「決勝まできたから立派」という気持ちであった。また、逆転の期待が強いと彼女たちに負担だろうという妙な心境でもあった。

 延長戦でまたアメリカに加点されて後半戦になると、またもや「無理しなくていいよ。よくやった」という気持ちになっていた。

 だから、残り3分そこそこで澤選手が同点ゴールを決めたときは信じ難い気持ちになった。

 そして、その後は、あの世界最強のアメリカチームがなでしこの勢いに押されて茫然自失になったように見えたのである。それは、そのままPK戦まで続き、アメリカはなすところなく敗れ去った。

 それにしても、澤選手の同点ゴールはどうだろう。私は映像や写真を何度も確認し、専門家の解説を聞いてもなかなか理解できない。一体どんな経路を辿って、ボールがゴールに入ったのか。後ろ向きで後ろに蹴ったに違いないが、あの土壇場で、そんな奇跡が起こるのか。澤選手が言うように、サッカーの神様の仕業としか思えない。

 選手たちは、大会前には、「なでしこの活躍が少しでも被災者の皆さんを勇気づけることができれば」と語っていた。

 しかし、優勝後の感想はかなり大きく変化していた。

 「被災者の皆さんが頑張っているので、その勇気をもらったから勝つことができた」

 被災者の人たちは、後者のコメントのほうがはるかにうれしく元気も出るだろう。

 多くの人たちが、歴史に残るコメントを発したが、私が特に気に入ったものを挙げると次の2つである。

 まずはアメリカの美人GK(ホープ・ソロ選手)の試合前の言葉。

 「日本選手は、試合より何か大きくて高潔なもののためにプレーしている」

 そして、敗れた後、彼女はこうつぶやいたという。

 「何か大きなものが彼女たちを引っ張っていた。私たちは、素晴らしいチームに負けた」

 このコメントはたまらなく感動的で涙さえ出てくる。

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田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

1940年長野県生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒業。
83年、衆議院議員初当選。93年6月、新党さきがけ結成、代表代行。
細川政権発足時、首相特別補佐。第一次橋本内閣、経済企画庁長官。
現在、福山大学客員教授、「民権塾」塾長。


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かつて首相特別補佐として細川政権を支えた田中秀征が、期待と不安に溢れた現政権の動向を鋭く斬り込む週刊コラム。刻一刻と動く政局をウォッチしていく。

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