
2年ぶりに来日したスペインの名門バルセロナが、J1王者ヴィッセル神戸に3-1で快勝した7月27日の国際親善試合は、開催直前の同24日に中止の危機に直面していた。わずか36時間でトラブルの原因となっていた未払い金問題を解決。人脈をフルに駆使して来日へ難色を示していたバロセロナを説得し、一度キャンセルされたチャーター便を手配した神戸の会長で、親会社・楽天グループの三木谷浩史会長兼社長が水面下で発揮した、ビジネスマンとしての豪腕ぶりを振り返った。(ノンフィクションライター 藤江直人)
3日半後に迫っていた試合
クラブ公式HPで緊急声明が…
起きがけにスマートフォン越しにニュースをチェックした三木谷氏は、思わず自分の目を疑った。自身が会長を務めるヴィッセル神戸を巻き込む、寝耳に水の事態がスペインで起こっていたからだ。
スペインの名門バルセロナと本拠地ノエビアスタジアム神戸で対峙する、神戸のクラブ創設30周年記念チャリティーマッチの開催が、わずか3日半後に迫っていた7月24日の午前5時ごろだった。ニュースのソースは、バルセロナがクラブ公式ホームページ上で発表した次のような緊急声明にあった。
「日曜日(27日)に日本で予定されている試合への出場を、プロモーターの重大な契約違反により、中止せざるを得なくなったことをお知らせいたします。ただしFCソウル、大邱FCとの2試合が予定されている韓国ツアーに関しては、プロモーターが一定の条件を満たすことを条件に再検討します。それらが満たされた場合、クラブは数日以内に韓国に出発します。バルセロナは、今回の事案が日本のバルセロナファンの大規模なコミュニティーに与えた影響を遺憾に思っています」
バルセロナ戦は神戸市と兵庫県サッカー協会、神戸商工会議所、一般社団法人ヴィッセル神戸スポーツクラブで構成される「ヴィッセル神戸チャリティーマッチ実行委員会」が主催。さらに主管には神戸と、株式会社ヤスダグループ(本社・東京都港区、安田慶祐代表取締役CEO)が名を連ねていた。