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飯田哲也の新・エネルギー原論
【第8回】 2011年7月21日
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飯田哲也 [環境エネルギー政策研究所所長]

再生可能エネルギー特別措置法案に望む
「3・11後」を踏まえた内容の手直し

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再生可能エネルギー特別措置法案が、7月14日に衆議院本会議で審議入りした。菅直人首相が首をかけ、推進派、反対派それぞれから問題が指摘されている「一丁目一番地」の法案だが、自然エネルギー政策を先へ進めるためにはそ成立を最優先するべきだ。政策の大枠を定める「枠組み法」が成立すれば、その先の制度設計――つまり、後で定める「政省令の規定」こそがポイントとなる。その主要な注意点をここに提言する。

自然エネルギー普及と公平性を重視して
法案名称どおり「余剰」を「全量」にすべき

 いま最も重視すべきは、自然エネルギーの普及である。

 現在の法案の内容では、その普及に悪影響をもたらしかねない。そこで政省令の内容が鍵となってくるが、重要なのは買い取り価格と条件だ。

 現在の素案では、太陽光を除いて「一律価格」としているが、これではドイツの90年代や英国の90年代に失敗した歴史に学ばない愚か者だ。これまで買取対象から外されていたメガソーラーは、一定の採算がとれる価格に見直すことになっているが、風力、バイオマス、小水力についても、それぞれの自然エネルギー技術の特性に応じて買い取り価格を慎重に設定しなければならない。

 価格については、発電プロジェクトごとにIRR(内部収益率)を6~8%程度に設定したモデルプラントを想定し、その結果によって価格を決めるアプローチを取るべきだ。そうして決定された価格であれば、企業がミドルリスク・ミドルリターンの投資事業として認識し、普及・拡大につながる。

 また買い取り期間も、家庭用の太陽光発電だけが10年と短めに設定されているが、事業所用と同水準の20年にするべきだろう。

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飯田哲也 [環境エネルギー政策研究所所長]

1959年、山口県生。京都大学原子核工学専攻修了。東京大学先端科学技術研究センター博士課程単位取得満期退学。大手鉄鋼メーカー、電力関連研究機関で原子力の研究開発に従事した後に退職。現在、非営利の研究機関の代表を務めつつ、複数の環境NGOを主宰し、科学者でもある。自然エネルギー政策では国内外で第一人者として知られ、政策提言と積極的な活動や発言により、日本政府および東京都など地方自治体のエネルギー政策に影響を与えるとともに、国際的にも豊富なネットワークを持つ。主著に『北欧のエネルギーデモクラシー』、共著に『グリーン・ニューディール―環境投資は世界経済を救えるか』(NHK出版)、『日本版グリーン革命で 経済・雇用を立て直す』(洋泉社新書)、『自然エネルギー市場』(築地書館)など。5月に『今こそ、エネルギーシフト 原発と自然エネルギーと私達の暮らし』(岩波ブックレット/共著)を刊行予定


飯田哲也の新・エネルギー原論

東京電力・福島第一原子力発電所の事故は、私たちに様々な問題を提起した。夏場の電力不足への対応という短期的課題だけでなく、原発存続の是非や、電力の供給体制のあり方といった中長期的な政策に及ぶ議論が一気に噴出している。エネルギー政策の第一人者として知られる飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長が、問題の本質をひもとき、合理的な解決策を探求する。

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