再生可能エネルギー特別措置法案が、7月14日に衆議院本会議で審議入りした。菅直人首相が首をかけ、推進派、反対派それぞれから問題が指摘されている「一丁目一番地」の法案だが、自然エネルギー政策を先へ進めるためにはそ成立を最優先するべきだ。政策の大枠を定める「枠組み法」が成立すれば、その先の制度設計――つまり、後で定める「政省令の規定」こそがポイントとなる。その主要な注意点をここに提言する。
自然エネルギー普及と公平性を重視して
法案名称どおり「余剰」を「全量」にすべき
いま最も重視すべきは、自然エネルギーの普及である。
現在の法案の内容では、その普及に悪影響をもたらしかねない。そこで政省令の内容が鍵となってくるが、重要なのは買い取り価格と条件だ。
現在の素案では、太陽光を除いて「一律価格」としているが、これではドイツの90年代や英国の90年代に失敗した歴史に学ばない愚か者だ。これまで買取対象から外されていたメガソーラーは、一定の採算がとれる価格に見直すことになっているが、風力、バイオマス、小水力についても、それぞれの自然エネルギー技術の特性に応じて買い取り価格を慎重に設定しなければならない。
価格については、発電プロジェクトごとにIRR(内部収益率)を6~8%程度に設定したモデルプラントを想定し、その結果によって価格を決めるアプローチを取るべきだ。そうして決定された価格であれば、企業がミドルリスク・ミドルリターンの投資事業として認識し、普及・拡大につながる。
また買い取り期間も、家庭用の太陽光発電だけが10年と短めに設定されているが、事業所用と同水準の20年にするべきだろう。