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入居者本位にこだわり続ける
“庶民向け介護住宅”のパイオニア
メッセージ会長 橋本俊明

週刊ダイヤモンド編集部
【第154回】 2011年7月22日
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メッセージ会長 橋本俊明
Photo by Yusei Ueda/REAL

 突然、親の介護が必要となったが、家族では対応できない。安くて安心な有料老人ホームがあれば、心強い。そんな介護ニーズを背景に急成長してきたのが、メッセージだ。現在、同社が全国で展開する介護付き有料老人ホーム「アミーユ」は163施設にも上る。

 特徴は、入居費用の安さ。介護付き有料老人ホームといえば入居時に支払う一時金が1000万円以上、月々の利用料が30万円以上というのがザラである。ところがアミーユの場合、一時金なし、月額費用は12万~23万円前後で、厚生年金の受給額程度で入居できる。一時金なしの安価なホームは、3~4年前までは画期的なことだった。

 それを実現した低コストの秘訣は、合理化が進む外食産業や流通業のノウハウを研究し、積極的に採用した点だ。

 食事はあらかじめ工場で調理した食品を用いるセントラルキッチン方式、初期投資の抑制のために建物を地主に建ててもらって借り上げる賃貸借方式を採用、人員配置はコンピュータで効率的に管理している。

 合理的手法を次々に取り入れる姿から、メッセージを創業した橋本俊明は、「介護を科学する人」と業界人に評される。

 1948年に岡山市で生まれた橋本は、医師としてキャリアをスタートさせた。73年に岡山大学医学部を卒業、81年に橋本胃腸科外科医院を開業し、94年には医療法人自由会を設立した。

介護参入の契機となった刑務所を連想させる
高齢者の悲惨な処遇

 高齢者の処遇をもっと改善できないものか──。

 橋本は、80年代にある老人福祉施設を訪問した際の光景が忘れられない。玄関をくぐった瞬間に、鼻につく排泄物の臭気。オムツ交換用カートの前では、高齢者をベッド上で転がし、流れ作業でオムツを交換する。入浴時には、風呂場の前に裸の入居者が一列に並ぶ。それは刑務所を連想させた。

 当時、橋本が経営する医院では、手術後に退院した高齢者を「家庭の事情で引き取れない」という家族が増えていた。

 そこで、91年に家庭に戻るまでのリハビリを行う老人保健施設(老健)、95年に低額な高齢者入居施設のケアハウス、認知症の高齢者が共同生活するグループホームを始めた。

 重視したのは「入居者の声を聞く」という入居者本位の姿勢だった。

 しかし、介護職員はまったく言うことを聞かない。「介護の世界がまるでわかっていない。お医者さんは介護の現場に口を出す必要がない」とまで言われてしまう。

 奮起して介護を本気で学ぼうと考えた。図書館に通い詰め、外国の文献を読みあさった。

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