日本の財政は危機的状況にあり、経済も低成長化が加速するなか、個人も国も変化を求められ、将来の見通しは不明瞭だ。たとえば、よい学校へ行き、大企業に入る――そんな、高度成長期に一般的に良いとされた働き方や価値観も大きく揺らいでいる。特に若者世代には元気がない。パラダイムシフトが起ころうとしている今、どんな生き方をすべきなのだろう? いったん、立ち止まって考える「ニート」という選択も、意外と有効なのかもしれない。
上場企業の資本政策・事業戦略・IRコンサルティングを行っているブルーマリーンパートナーズ株式会社代表取締役の山口揚平氏が、混迷の時代を生き抜くための「“21世紀型”リテラシー」を探る新連載第1回。

金も票も年配世代に押さえられ
若者に元気がない今という時代

 若者世代(20~30代)にとって、暗い時代だ。

 それはそうだ。自分が払っている年金は返ってきそうにない。35歳が年収のピークだと言われ、平均賃金は下がり続けている。失業率は上がり続け、大学生の内定率は過去最低である。日本経済の閉塞感はますます増して、気がつけば貿易収支もとうとう赤字に転落。おまけに3.11以降、節電ブームで街も薄暗く、まるで今の日本の状況を反映しているかのようだ。

 団塊・年金世代はまだいい。

 この国では総資産の60%以上は、60歳代以上が保有している。住宅ローンなどの負債を引いた純資産ベースでいえば、80~90%の資産は65歳以上が保有している計算になる。全体でみれば十分に食っていける。しかし若者世代は消費をしようにも、ない袖は振れない状態だ。

 では、若手が政治で何か変えられないか? 

 そう考えてみても、有権者数でみると70代以上が約20%に対し、20代は15%にも満たない。多数決の原理で動く選挙や政治の世界でも、自分たちの意見は通ることは少ない。 

 「明るい選挙推進委員会」は若年齢者の投票率の低さを嘆くが、実にばかばかしい指摘だ。そもそも20歳代の人口が少なく投票してもインパクトが少ないのにわざわざ選挙に行くはずがないだろう。選挙制度を変えて世代別に票田を加重平均しなければ、ますます政策が“高齢化”するだけである。

 つまり、「金」も「票」も年配世代に押さえられている「金」がモノをいう資本主義でも、「数」で物事を決める民主主義でも、若者世代には力がない。

未来が見えない。将来が不安だ。だから元気を失っている。今はそんな状況である。