経営×総務

ストレスチェックは「ダメ管理職」のあぶり出しにもなる

部長と課長の間にある認識のズレ

 前回、ストレスチェックの結果を「職場の課題解決」に生かそうとしているIT系企業A社の事例をお話した。その話をもう少し続けよう。

 A社ではストレスチェックの結果を各職場にフィードバックし、高ストレスと判定され、なおかつこの3年以内にメンタルヘルス不全による休職者が出た3職場について部長同士、そして課長同士のミーティングを実施した。

 その結果、部長たちの問題認識と改善策と、部下たちの認識と意見との間には著しいズレがあった、という事実を前回述べた。

 たとえば、部長ミーティングでは「人が足りないことがストレスの要因」とする意見が多かったのに対し、課長たちからは「部長のコミュニケーションが不足している」という指摘が多く挙がった。

 そして、「人の頭数の問題ではなく、部署として仕事を回していく仕組みの問題。仕組みがなければ、いくら人を入れても意味がない」というのが課長ミーティングの結論だった。

 おそらく、このような「かみ合わなさ」こそが、職場のストレスの源泉になっているのではないか、と私は感じた。

 もちろん、職場の問題点について、部長たちが何も考えていないわけではないし、改善の意志もある。ただし、両者の認識のズレを埋めない限り、職場の改善はうまく行かないだろう。

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吉野聡

1978年生まれ。筑波大学大学院人間総合科学研究科修了。筑波大学医学医療系助教を経て、2015年新宿ゲートウェイクリニックを開設。「職場復帰を成功させるための30日ノート(現代けんこう出版)ほか著書多数。


早期発見、未然防止 ストレスチェックのすべて

今年12月から、従業員50人以上の事業場を対象に1年に1回の「ストレスチェック」が義務化される。本連載では、本当に会社のためになるストレスチェックの実施について、精神科産業医である新宿ゲートウェイクリニックの吉野聡院長が解説する。

 

「早期発見、未然防止 ストレスチェックのすべて」

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