部下を潰して出世する「クラッシャー上司」はなぜ生まれるのか部下を精神的に潰しながら、どんどん出世していくクラッシャー上司はいるか?

要約者レビュー

 部下を精神的に潰しながら、どんどん出世していく人物、それがクラッシャー上司だ。

部下を潰して出世する「クラッシャー上司」はなぜ生まれるのか『クラッシャー上司 ――平気で部下を追い詰める人たち』
松崎一葉
203ページ
PHP研究所
820円(税別)

 本書『クラッシャー上司 ――平気で部下を追い詰める人たち』で述べられているクラッシャー上司の特徴は以下の通りである。部下をときには奴隷のように扱い、精神的に追い詰めて潰す。他人への共感性が欠如しているため、そのことに罪悪感を抱かない。しかも、基本的には仕事ができるため、会社としても処分がむずかしい。結果として、クラッシャー上司は部下を潰しながら、どんどんと出世していく。

 著者によると、クラッシャー上司は日本に特徴的な問題であり、そもそも日本の企業文化そのものにクラッシャー的な傾向があるという。特に大企業の雇用形態はクラッシャー上司を生みやすい。「働き方改革」が謳われている今こそ、部下を潰さない組織づくりが日本には求められている。

 本書では、まずクラッシャー上司の具体例が提示される。次に、なぜ彼らが部下を潰してしまうのか、クラッシャー上司の精神構造、および彼らを生んでしまう組織構造が紐解かれる。最後に、企業におけるクラッシャー上司対策が提示されるという構成になっている。

 クラッシャー上司とされる人物像に、まったく心当たりがないという人はおそらくほとんどいないであろう。組織マネジメントに関心がある人、企業の人事担当者、教育に携わる人、なによりもクラッシャー上司に接したことのある人に、お薦めの一冊である。 (河原 レイカ)

本書の要点

・クラッシャー上司とは、部下を潰すことに罪悪感がなく、部下の気持ちに共感することができない。
・日本の企業社会そのものに、クラッシャー的な傾向がある。企業の雇用形態や滅私奉公の価値観が、クラッシャー上司を生む土壌になっている。
・イノベーションが生まれる職場にするためには、クラッシャー上司対策は必要不可欠である。そのために、企業はコンプライアンス意識を高めていかなくてはならない。