外資系コンサルティングファームのマネジャーであり、月間20万PV超のビジネスブログ「Outward Matrix」の運営者でもある20代の若手コンサルタントShin氏の処女作『コピー1枚すらとれなかったぼくの評価を1年で激変させた 7つの仕事術』が発売となる。本書のタイトルにあるように、もともとド落ちこぼれだったShin氏(落ちこぼれ時代のエピソードは、連載第1回をご参考ください)。彼はいったいどうやって、たった1年で外資系コンサルティングファームのマネジャーにまで上り詰めたのか――。急成長を遂げる過程で、考えたこと、学んだこと、そして実践してきたノウハウについて、Shin氏に教えていただいた。

「もっと自分の頭で考えろよ!」

 ぼくは落ちこぼれ時代、自分の頭で考えることを苦手としていました。受験に代表される詰め込み型の勉強はできても、インプットしたものに自らの創造性やアイデアを加えてアウトプットすることはできず、それが心から苦痛だったのです。そして、上司や先輩によく言われたのが、「もっと自分の頭で考えろ」という言葉でした。「他の人の話や本を鵜呑みにしているから自分の意見が浅くなる。もっと自分の頭で考え、自分の言葉で表現しろ」というのが彼らの真意だったのでしょう。

 しかしぼくは、どうすればそのようなことができるようになるか、まったくわかりませんでした。そこで、同じコンサルティングファームに勤める、できる先輩や上司、同期のことをつぶさに観察することにしました。すると、あることに気づきました。それはみな、「共通の言葉」を使っているということです。プロジェクトや専門が違っていても、できる人たちはみな、共通の言葉を使っていました。ぼくも彼らの真似をして、人の話を聞くときにそれらの言葉を頭に浮かべるようにしました。すると、自分の思考がどんどん深まっていく感覚を得られるようになったのです。

 その共通の言葉のうちのひとつが、「一言で言うと?」です。これは、多数の情報や考えが散在している場合に、とても有効な言葉でした。多数の情報が散財している場合、それらをうまく自分の中で整理できないと、思考を深掘りできません。たとえば、ある大手スーパーのクライアントから次の要望を聞き出したとします。

・野菜の売上を増やしたい。中でもキャベツの売上を伸ばしたい
・競合のA社はきゅうりが安い。きゅうりの仕入れ値ではA社に勝てない
・今後、ニンジンが安く仕入れられるようになる

 これらの情報を整理せず、あなたは解決法を思考していけるでしょうか。きっと難しいと思います。このとき、次の段階に思考を展開させていくには、散在した情報を一度まとめる必要があります。この場合、クライアントの要望は「キャベツ、ニンジンを軸として、野菜の売上を伸ばしていきたい」と整理されるでしょう。このように一言でまとめると、次にどうすべきかがグッと考えやすくなります。

 情報が散在しているときは、いったん主要なメッセージをつかむために、「一言で言うと?」と考え、情報を整理してみましょう。「この提案書で伝えたいことを一言で言うと何だろう?」「クライアントの要件を一言でまとめると何になるだろう?」「この本のメッセージを一言でまとめると?」などと、主要なメッセージをつかむことで、頭が整理され、一気に考えやすくなります。

 また、「一言で言うと?」は、打ち合わせなどで参加者の意見を整理する際にも力を発揮します。会議や打ち合わせでは、情報が錯綜して考えや論点があちこちに飛んでしまうケースがよくあります。そこで、「一言で言うと~ということでしょうか?」と確認すると、あなた自身が頭を整理できるだけでなく、参加者全員が正しい方向性を共有でき、散在した考えをキレイにまとめていくことができるでしょう。

 こうした優秀なコンサルタントたちが共通に使っている言葉をマネて使い続けてきた結果、ぼくは、あれだけ苦手だった「自分の頭で考えること」ができるようになりました。ぜひみなさんも、まずは「一言で言うと?」を使ってみてください。きっとこれまで以上に、自分の頭で思考を深めることができるようになるはずです。また、拙著『コピー1枚とれなかったぼくの評価を1年で激変させた7つの仕事術』では、そのほかの言葉についても紹介しています。ぜひ、ご参照いただけますと幸いです。