アマゾン巨額買収で巨人ウォルマートとの最終決戦が始まったオーガニック食材にこだわるホールフーズは「コカ・コーラを売らないスーパー」との異名を持つ Photo:AFP=時事

「共通の友人が初デートのセッティングをしてくれた。そして6週間前にシアトルに行き、恋に落ちた。本当に“一目ぼれ”だったんだ」

 米インターネット通販大手、アマゾン・ドット・コムは6月16日、米高級スーパー、ホールフーズ・マーケットを137億ドル(約1.5兆円)で買収すると発表。全米の小売業界を揺るがす買収劇について、ホールフーズのジョン・マッキーCEO(最高経営責任者)は同日開催した従業員向け集会で冒頭のように説明した。

 1978年に米テキサス州で創業したホールフーズは、無農薬野菜などのオーガニック食材を中心とした品ぞろえに強みを持つ。食の安心・安全を追求する姿勢から、健康志向の中・高所得者の人気を集め、米国やカナダなどで約460店を運営している。

 ただ、価格設定が高いことに加え、競合の米ウォルマートや米クローガーなどがオーガニック食材を強化したことで、近年は成長が鈍化。直近では既存店売上高が7四半期連続で前年同期を下回り、一部の「物言う株主」が身売りなどの圧力をかけていた。

 こうした背景もあって、マッキーCEOは「四半期ごとの圧力から解放され、長期的な視点で顧客価値を高めることに注力できる」と喜びをあらわにしている。