6月の貿易収支は黒字になった。ただし、黒字額は707億円に過ぎない。2010年6月の黒字が6705億円だったのに比べると、約9割の減と、著しい減少ぶりだ。
輸出総額は、5兆7758億円で、昨年6月の5兆8672億円に比べて1.6%減。つまり、輸出総額は、ほぼ震災前レベルに復帰したと考えることができる(【図表1】参照)。その大きな原因は、輸出総額の10.9%を占める自動車の輸出が著しく回復したことだ(【図表2】参照)。6月の輸出額は7518億円で、昨年6月の8593億円の12.5%減にまで回復した。
輸入増加が黒字減少の主要要因
貿易収支が1年前に比べて悪化した大きな原因は、輸入面にある。すなわち、輸入総額が5兆7051億円で、昨年6月の5兆1966億円に比べて9.8%も増加している(【図表3】参照)。
その大きな原因は、輸入全体の30.4%を占める鉱物性燃料が25.5%も増加していることだ(【図表4】参照)。この輸入総額増加に対する寄与率は6.8%である。
内訳を見ると、原油及び粗油(構成比15.7%)が30.1%増加(寄与率4.0%)(【図表5】参照)、液化天然ガス(構成比6.6%)が35.1%増加(寄与率1.9%)(【図表6】参照)などとなっている。
輸入数量の伸びは、原油及び粗油が1.9%、液化天然ガスが10.6%だ。つまり、原油及び粗油の輸入額の伸びは主として原油価格上昇によるものであり、液化天然ガスの輸入額の伸びは、発電の火力シフトによる輸入数量の増加と価格上昇によるものであることが分かる。