東芝は、6月28日の定時株主総会直後、ウエスタンデジタルへの対抗手段を次々と打ち出した Photo:EPA=時事

 東芝の半導体事業売却をめぐる東芝と米ウエスタンデジタル(WD)の対立が、泥仕合の様相を呈している。

 東芝は6月28日、半導体事業で協業しているWDを提訴。半導体子会社の東芝メモリ売却に対するWDの「看過できない妨害行為」の停止と1200億円の損害賠償を求めた。東芝は、従来の“我慢路線”から、“攻撃モード”に転換した格好だ。

 もとより両社の関係は悪化の一途をたどっていた。東芝関係者によれば、「東芝メモリの入札参加者や買収資金を融資する銀行にWDが提訴をちらつかせるなど脅迫まがいのことを続けてきた」という。

 とりわけWDが東芝メモリ売却の差し止めを国際仲裁裁判所に申し立てた際には、入札参加者に動揺が広がった。

 目下、WDが起こした裁判で売却が中止になるリスクに神経を尖らせているのが、21日に東芝メモリ売却の優先交渉権を得た日米韓連合だ。産業革新機構(INCJ)や、米投資ファンド、ベインキャピタルなどから成り、韓国半導体大手のSKハイニックスも同ファンドに融資する形で参加する。