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「医療クラウド」サービスで
近畿2府4県以外にも出て行く

ケイ・オプティコム 藤野隆雄社長インタビュー

週刊ダイヤモンド編集部
2011年8月2日
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関西電力の100%子会社で、1988年に通信業界に新規参入したケイ・オプティコム(旧関西通信設備サービス)は、ほかの電力系通信事業者が競争に負けて完全撤退もしくは事業縮小を余儀なくされたなかで、現在でもNTTグループを向こうに回して互角以上の戦いを繰り広げている。すでに近畿圏ではかなりの存在感があるが、全国的な知名度は高くない。だがケイ・オプティコムは、静かに全国展開を模索し始めた。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)

――国内で唯一、NTTグループに対して、真正面から設備競争とサービス競争を仕掛け、一部地域では光回線のシェアでNTT西日本を上回っている。彼らとガチンコ勝負で戦ってきた新規参入事業者として、現在のNTTをどう見ているか。

 最近は、海外のインターネット系の企業との競争を意識しているからなのか、NTTを大きな1つの組織にまとめて、ネット企業と戦えるだけの国際競争力を付けさせようという “動き”が、官民の間で出てきているように見受けられる。だが、その影響で、「国内の競争状況」がないがしろにされても構わないという理屈は、新規参入事業者として賛成できない。

ふじの・たかお/1949年、大阪府生まれ。73年、大阪大学大学院工学研究科通信工学専攻修士課程修了後、関西電力に入社。98年、情報通信室通信システム部長。2000年、IT戦略グループチーフマネジャー。07年、常務取締役兼経営改革・IT本部長。一貫して、発電所や変電所を結ぶ電力会社内の通信部門を歩く。2009年、ケイ・オプティコム社長に就任する。NTTドコモの山田隆持社長とは、大学・大学院時代を通して専攻が一緒という同級生。趣味は庭造りと読書。
Photo by Toshiaki Usami

――もとより、ケイ・オプティコムは、総務省の公聴会でも、NTTの「再々編問題」や、競争状況の維持について積極的に発言してきた。

 振り返ってみれば、1985年からの「通信の自由化」(NTTの民営化)によって、NTTグループは、形の上では分割されている。しかしながら、85年当時の議論の内容、すなわち「新規参入事業者との公正競争条件を整備する」(旧郵政省)、そして市場を活性化させるという当初の民営化の精神は、残念ながら風化しつつある。

 たとえば、99年の「NTT再編」の際に、NTT東日本やNTT西日本、NTTコミュニケーションズなど主要子会社ごとに決められた事業領域は、今では“なし崩し”の状態になっている。その理由は、これまでにNTTの主要子会社に課していた規制を緩和し、彼らの自由度を増すような施策が行われてきたからだ。

――そのような流れなか、今度は「NTTの国際競争力向上」の機運が高まってきたことで、85年以降に参入した競争事業者にとっては逆風が吹くということか。

 海外企業の動向に目を奪われて、国内の競争状況が軽視されるというのは、おかしな話だ。85年以来の通信の自由化については一度、是非を含めてじっくりと検証する必要があるのではないだろうか。

 たとえば、ケイ・オプティコムが事業を展開する近畿2府4県(大阪府、京都府、滋賀県、兵庫県、奈良県、和歌山県)では、85年に通信業界に導入された競争政策による“成果”を上げている。高速大容量のブロードバンドサービスにおける設備競争とサービス競争によって、滋賀県ではNTT西日本の光回線のシェアが約38%なのに対してケイ・オプティコムは約53%と大きく上回っている。

 地域によってシェアに差はあるが、NTT西日本、ケイ・オプティコム、ジュピターテレコムなどのケーブルテレビ会社は、ブロードバンドサービスの展開で、実際に激しく競争している。近畿圏は、他の地域に比べて光回線の普及率が高く、NTT西日本の光回線のシェアが低い。それらは、すべて競争の結果であり、競争を導入した効果を実証している。

 だから、NTTグループを強くする流れは新規参入事業者にとって逆風であると同時に、せっかく競争状況ができた流れに“逆行”するような事態にはすべきではないと考えている。やはり、設備競争とサービス競争は、なくしてはならない。

関電が赤字を肩代わり?
じつは6期連続増収増益

――現在の通信業界には、自ら設備投資することに対して、あまり積極的ではない新規参入事業者もいる。改めて、設備競争とサービス競争が重要であるという問題意識について教えてほしい。

 昨年から今年にかけての「光の道」(2015年度までに全国に光回線などのブロードバンドインフラ網を敷設するという構想)に関する議論でも主張してきたが、やはり、公正な競争環境の下で、設備競争とサービス競争によって、事業者間の競争を促す必要があるということに尽きる。

 だから、サービス競争ばかり優先して、設備競争するインセンティブが失せるような政策は、健全な競争を生まなくなる。この2つは、どちらか一方が欠けてもいけない。仮に、もはや設備競争は必要ないということになれば、インフラの技術革新は進まず、やがてインフラの上に載るサービス競争さえも停滞させてしまうことになる。

 通信事業者には、通信という社会のインフラを担う重大な責務がある以上、ある種の覚悟や使命感を持った企業でなければ、手掛けるべきではないと思う。私がずっと、電力会社内の通信部門で過ごしてきたからかもしれないが、「設備の信頼感はサービスの継続性につながる」と今でも強く信じている。

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