創業以来の長野・東京の2本社制。あえて全国展開せず、地域密着で多彩な施工実績と共に信頼を積み重ねてきた北野建設。「人財は資産」という考えの下、2024年に評価制度を刷新。若手社員の声に耳を傾けながら、より働きやすい環境へバージョンアップが進む。
北野建設北野貴裕 代表取締役社長
「地域密着」を掲げる中堅ゼネコンは数多いが、中でも1946年の創業時から一貫して長野と東京の2拠点体制を貫き、どちらの地域にも深く根差す北野建設は、ひときわユニークな存在だ。
「もともと製材業を営んでいた祖父が故郷の長野で、戦争から復員した父が焼け野原になった東京で──。日本復興の思いを込めて、同時に建設業を始めたのが原点です」と、北野貴裕社長。現在も本社は二つ。両拠点の売り上げ規模もほぼ同程度だ。
2021年に竣工した長野本社。地域に開くオープンスペースを設けた開放的な設計だ
施工実績は公共建築やホテル、学校や店舗、さらには道路や橋などの土木工事まで幅広い。特に寒冷地で鍛えた技術力には定評があり、軽井沢や白馬のような高地リゾートでも数々のホテルやリゾート施設を手掛けてきた。2025年度には建築家・伊東豊雄氏設計の企業保養所が竣工。周囲の豊かな自然と調和するランドスケープを生み出している。
信州を代表する名刹・善光寺本堂(国宝)の保存・修理にも長年にわたって携わっており、寺社建築のような伝統的な木造工法の実績も豊富だ。