実際に、他の会社でアパートを建てたという、福岡県在住の地主の女性は「大東建託の営業マンは毎回違う人がしつこく来るし、仕事がきつくてすぐに辞めてしまうという話も耳にしていましたから、信用できないと感じて断りました」と証言する。

 同社の給料は月28.8万円プラス歩合給と賞与。複数の関係者によれば、月に1棟売れれば月収は約200万円となる。それで年収数千万円を稼ぐスーパー営業マンもいるが、それはほんの一握り。1棟も売れず、わずか3ヵ月で辞めてしまう営業マンも後を絶たないという。厳しいノルマを課される上に、携帯やパソコンのGPSで各支店の責任者に居場所を随時監視されており、精神的な負担も大きい。

「最近の営業マンは何かの拍子で間違えて入社したという人が多い。それも定着せずにすぐ辞めていく原因の1つです。ボールペン1本売ってこいと言われて、実際に売りきれる営業マンは10人中1人いればいい方です。でも今の経営陣は『数打ちゃ当たる』理論から抜けられていません」

 聞けば田中さんは、飛び込み訪問よりも、1人の地主と家族ぐるみの付き合いになるまでとことん向き合い、信頼を得て別の地主を紹介してもらうといったスタンスを大切にしているという。そんな田中さんは、建て替えに依存する現状を危惧している。

「そもそも建て替えが必要ないところにも営業しています。建て替えは、30年前くらいに契約したオーナーたちの物件が多いので一定のニーズがあるのは確かですが、中には無理やりお願いしているケースも見受けられます。建て替えが一巡したら、規模を縮小して管理会社として残っていくような形になるのではないでしょうか」

 大東の屋台骨を支えているのは現場の営業マンだが、その現場の声を生かせるような仕組みが会社にないという。去り際に田中さんはこう呟いた。「大東建託が生まれ変わるには、やっぱり経営陣を総入れ替えするくらいでないと駄目です」――。

 果たして、この声は経営陣に届くのだろうか。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 大根田康介)

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