戦前の亭主関白は
実はバランスが取れていた

 先進諸国で女性の社会的地位が向上したのは戦争中です。男性が戦場に駆り出された穴を、女性に埋めさせざるを得なかったからです。それは日本も同様であり、この傾向が戦後に引き継がれ、深化しました。戦前は典型的な「亭主関白」文化。男性は社会的機能、つまり仕事と、それに伴う社会的責任を一身に背負う代わりに、家庭内では女性より明確に上の立場にいました。

モラハラ妻に耐える日々を送った後、一念発起して離婚の道を選んだ経験を持つ安冨教授。日本人は男女とも、愛情がなくなっても離婚を選びづらい環境に置かれている。 Photo by Kazutoshi Sumitomo Hair&Makeup by Chise Fujioka

 現代はと言えば、相変わらず女性の社会進出は遅々として進んでいませんから、多くの男性は戦前と同じく、社会的機能を一身に背負ったままであるのに、家庭内では男女同権を強いられます。一方、女性は社会的機能を背負うことなく、家庭内では男女同権を享受しています。

 亭主関白が良いと言っているわけではありません。ただ、戦前は外で背負った負担を、家庭内で女性に押し付けることができたので、男はなんとかやれたわけです。現代社会は、実は男性に負担が集中する構造になっています。

 そして、この男が苦しむ仕組みの元凶は、女性の社会進出を阻む男たち自身ですから笑ってしまいます。世界的に見ても、日本女性の社会進出が遅れていることは明らかです。世界経済フォーラムの「世界ジェンダー・ギャップ報告書」2016年版のランキングでは、日本はなんと111位です。

 女性が離婚しても、男性と同レベルの収入を得られる職に就くことは困難ですし、世帯主が女だと、賃貸住宅すら入居拒否されるケースも珍しくないと聞きます。これでは生きていけないので、夫から吸い取るしかありません。

 もし、女性たちが男性と同等の仕事にすぐさま就ける社会なら、別居後15年間も夫にしがみつくなんてナンセンスなことをする女性がいるでしょうか。さっさと離婚をして、愛情が通い合う、新しいパートナーを見つけたいと考えるはずです。