家庭内ハラスメントに
耐える夫たち

 夫の側にも、離婚に躊躇する理由があります。それは、やはりカネ。戦後の男女同権によって、三行半を突きつければ終わり、などということはなくなり、離婚には大金が必要となりました。さらに、一昔前に比べればだいぶマシになったとは言え、まだまだ離婚した男に対する社会の風は冷たい。「家庭を守れなかった、信用できない男」というレッテルを貼られ、古くさい職場では、出世にも影響します。離婚をすることで、収入にも悪影響があるのです。

 夫婦間の愛情が冷めきって憎しみに変わった場合、家庭にはハラスメントが横行します。男がハラッサー(ハラスメントをする人)である場合、暴力を振るうDVになるケースも多いですが、女だってハラッサーはいくらでもいます。ただし、多くの女性は露骨な暴力を振るわず、モラル・ハラスメントをする傾向にあるようです。

 殴られないのなら耐えられるだろう、というのは間違いです。私もかつて、配偶者からモラハラを受ける日々を送っていましたが、40歳になったとき、「このままやっていたら、45歳までには死ぬな」と思いました。

 家庭内では搾取されてモラハラに耐え、外では重労働に明け暮れる夫たちが、心から愛せる人と出会ったとして、なぜそれが責められなければならないのでしょうか?倫理的に問題があるとは思えません。あとは、社会的関係の調整が必要なだけだと私は思います。

 私自身、死ぬほど辛かった家庭生活にピリオドを打てたのは、助け合うことのできる女性と出会ったからでした。毎日ハラスメントに耐える生活を送るうちに、私の心はひからび、生きるパワーが枯れていきました。助け合う関係ができたことではじめて、さまざまな不利益を被ることも覚悟して、離婚しようと腹をくくることができたのです。