離婚を諦めた男たちは
他人の離婚を許さない

 不幸にも、愛せる女性に巡り会えないまま、モラハラに耐えるしかない男たちは、いつしか人生を諦めます。「まあ、こんなもんか」、と。彼らの自尊心はボロボロですから、前回(記事はこちら)述べたように過度に仕事に打ち込み、成果を挙げることで自尊心の回復を試みたり、家を買う、家族で海外旅行に行くなどの消費イベントを定期的に行って、壊れた家庭を一瞬、修復できたかのように装おうと努力します。

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 これらの試みが成功しても、根本問題は解決されないままですから、一瞬の満足しか生みません。だから次々に新しい目標に邁進しなければならない。日本が高度経済成長をしている間は、こうした試み自体は成功しやすかったでしょう。しかし、現在は出世も狭き門なら、十分に消費活動をするだけの収入も得にくい。一瞬の満足すらも味わいにくい時代だから、より大変です。

 ハラスメントの程度が酷ければ、いずれ耐えられなくなるでしょうが、それほどでなければ、こうやってごまかしているうちに、夫も妻も墓場に逃げ込むことができます。そして、緩慢な地獄に耐える道を選んだ男性たちは、ほかの男性たちにも、同じ地獄にとどまることを強要します。「俺も我慢しているのだから、お前もがんばれ」といったところでしょうか。「男たちの友情」というのは、往々にしてこういう傷の舐め合いで形成されています。

 この負の構造を解決するには、戦前のように女性から人権を奪い取って亭主関白を回復するか、もしくは女性の社会進出を本気で進めるしかありません。

 ところが、安倍内閣は女性の真の活躍を志向しているとは思えません。「女性活躍」と口では言ってはいますが、社会的機能の面で男尊女卑を好む古くさい政治家たちは、意識改革をしないまま、「女性登用を増やせ」と数値目標ばかりを強調しています。

 その結果、多くの企業で誕生しているのは、まるで「お茶汲み役員」とでも言うべき女性役員たちです。能力のある女性が男性と切磋琢磨をして上り詰める、ということを好まない男性たちが、自分たちに歯向かってこないタイプの女性を、数値目標のためだけに抜擢するのです。どこかの防衛大臣もそうかもしれません。

 女性たちが家庭内でタガメ女と化し、モラハラを行う元凶は、カエル男の意識にありますから、「勝手に吸われてろ」と思わなくもありません。しかし、殺伐としていながら表面的な秩序を保つ欺瞞的家庭で育つ子どもたちの魂は、どれほど苦しむか、と考えるとそうもいきません。次回は、この問題を取り上げたいと思います。