最初の対応を誤った時のリカバリー
若い店員の失敗とオーバーなリアクション
あるとき、若い店員が苦情対応時に腹を立て、お客様に怒鳴り返してしまった。店員は 「自分が辞めてしまえば済む」とでも考えたようだ。しかし、話がそれで済むわけではない。「あんな店員を雇用している会社の責任をどうとるんだ。どうして客の私が怒鳴られなければならないんだ」と、長らく苦情が続いたのである。お客様を怒鳴りつけるというのは、明らかに店側の失敗である。ここは上司や年長者が、「大変失礼いたしました。大声をあげた点についてはお詫びいたします。社員の教育も徹底するようにいたします」と謝罪して、対応を引き継ぐべきだろう。
苦情について話を聞いている途中で、当方の間違いに気づくこともある。こんな時、私はオーバーなリアクションで切り抜けた。
「あー、そういうことですか」と、大声をあげて、勘違いしていたことをわかっていただくのだ。そして、「それでは、このように善処いたしましょう」と、切り替えていく。
間違いとわかったことは、すぐに訂正することが望ましい。とはいえ、適切なリアクションは経験を積まなければ難しいものだ。
いやだと思う気持ちが対応の誤りに
いくら気をつけていても、完璧な苦情対応をいつもやり遂げることは簡単ではない。時には対応を誤ることもあるだろう。
『日本苦情白書』のアンケートで、苦情に対して最初に抱く気持ちを尋ねたところ、「いやだ、面倒だ」が3割以上を占めた(右図表参照)。このような気持ちになると、心が閉じてしまい、視野が狭くなる。相手の心情にまで思いが至らなくなり、かえって話がこじれてしまう。苦情の対応を誤るケースは、こうした経過をたどることが多いのではないだろうか。
対応の間違いに気づいたら、そのことについてすぐに謝罪しなければならない。「先ほど申し上げましたことは、間違いでした……」と。
とはいえ、苦情を申し立てる側が「はい、そうですか」と簡単に納得するとは考えられないだろう。そこで、最初に対応した者の上司や年長者の出番となる。