国内市場の成熟化や人口動態の変化などを背景に、モノが売れないといわれて久しい。そうした中、特に法人(BtoB)営業の分野で、「インサイドセールス」に注目が集まっている。今なぜ、インサイドセールスなのか。インサイドセールスの導入による営業改革のポイントなどについて、マーケティング戦略の第一人者である慶應義塾大学大学院教授の余田拓郎氏に聞いた。

市場の拡大と分散で
新規開拓が不可欠に

——企業における営業業務の中でも法人(BtoB)営業の分野で「インサイドセールス」が注目を集めている背景について伺います。

余田 拓郎
慶應義塾大学大学院
経営管理研究科 教授

1984年、東京大学工学部卒業後、住友電気工業に勤務。1998年、名古屋市立大学経済学部専任講師。2000年、同学部助教授を経て、2002年より慶應義塾大学大学院経営管理研究科助教授、2007年より現職。

 一つ目は、「市場が拡大、分散していること」。日本的経営を代表する「系列」が崩れ、また、新製品の投入が活性化する中、新しい市場、新しい顧客を見つけなければいけなくなったことが大きな理由です。例えば、系列取引では、大口の既存顧客に営業してさえいれば、売り上げを伸ばすことができました。ところが系列の見直しによって、ロングテール型の小規模な顧客を含む新規顧客を開拓する必要に迫られています。そこで、既存顧客への売り込みがメインのフィールドセールス(訪問営業)に代わって、新規顧客の開拓を目的にインサイドセールスの仕組みを導入する企業が増えているというわけです。

 二つ目は、「インターネットなどによるコミュニケーションコストの低下」です。ネットの普及により、新規顧客を探索するコストがかつてに比べ大幅に低下したことから、新規顧客の開拓を担うインサイドセールスの重要性が高まっています。

 そして三つ目は「分業体制の確立」。属人的営業から組織的営業へ営業改革を推進するために、見込み客の発掘、育成をインサイドセールスが担当し、成約に向けた活動をフィールドセールスに引き継いでいくような営業プロセスの分業化が進んでいることが挙げられます。

——インサイドセールスの仕組みは、欧米で先行し、発展してきました。その理由と、欧米市場と国内市場との違いはありますか。

 米国でインサイドセールスへの取り組みが早くから進んできたのは、広大な国土を背景に市場が分散していることからです。当然、フィールドセールスだけではカバーし切れないので、営業活動の機能分化、効率化の中で、インサイドセールスの仕組みが確立されていきました。日本は国土が狭く、市場が集中しているため、営業部員が回りやすい。右肩上がりで市場が成長しているうちは、インサイドセールスなど必要なかった。しかし、国内市場が停滞し、需要が分散していく中で、既存顧客以外や国内以外の市場にも活路を見いだす必要性が生じています。

【協賛企業】ブリッジインターナショナル株式会社

属人的な仕事からプロセス分業へ
インサイドセールスの導入を
強力サポート

<内容>日本におけるインサイドセールスの“草分け的存在”として、企業のインサイドセールス導入を支援してきたブリッジインターナショナル。豊富な経験と実績に加え、最新のテクノロジーによる「デジタルインサイドセールス」を新たに提唱する。その狙いを同社の吉田融正・代表取締役社長が語る。

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法人営業に最適な基盤を提供
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<内容>いまだに「足で稼ぐ」風潮が強い日本の法人営業。しかし、見込み客発掘からクロージングまで、全て1人でこなす往年の営業スタイルはもう通用しない。新たな手法として注目されているのが、WEIC(ウエイク)のインサイドセールス「SALES BASE」だ。受注率の高いアポイントが顧客企業の営業効率を飛躍的に高めている。

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