業界内から、「自己満足ではないか?」との声も聞こえてくるが、今春より再開した積水化学工業の環境経営シフトが加速を続けている。
7月6日、積水化学は、家庭内で使用するエネルギーを100%自給自足できる住宅の第2弾(屋根が寄棟造のタイプ)を発表した。
これは、半年前の1月に出した第1弾(屋根が平面のタイプ)に続くもので、かねて弱かった新築住宅の市場で約60%を占める寄棟造の開拓を狙った派生製品だ。
100%の自給自足とは、積水化学が得意としてきた大容量の太陽光発電システム、HEMS(省エネの制御機器)、自前の蓄電池、電気自動車の充電設備などを搭載した住宅で、要は“全部のせ”である。
とはいえ、これらの住宅設備は、今日ではどこの住宅メーカーでも扱っているもので、新鮮味はない。では、なぜ積水化学だけが、臆面もなく、「100%の自給自足住宅」といいきれるのだろうか――。
国内の住宅メーカーでは相対的に早く、20年前から太陽光発電を搭載した住宅を販売してきた同社は、発電設備を増強するノウハウや人が住む状態での実測データを豊富にため込んできた。この点が、今や優位性になっているからだ。
例えば、2013年に最初のスマートハウス(積水化学の呼称ではスマートパワーステーション)を発表した際には、エネルギーの自給自足率が60%、年間の自給自足日数は30日という水準だった。これが、翌14年には自給自足率が75%、自給自足日数が180日になった。その後、16年には、自給自足率が85%、自給自足日数が210日に達した。その延長で、今年1月には自給自足率100 %、自給自足日数が365日を実現したのである。