話し掛けると適切に応答する音声認識AI(人工知能)の開発競争が激化している。米グーグルやアマゾンなどがAIスピーカーで主導権を激しく争う中、NTTドコモは6月、AIサービスの基本システムを開発したと発表した。吉澤和弘社長にAI時代の戦略を聞いた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 大矢博之)

5月に新料金プラン発表も「横並びと言われぬよう、次の手を矢継ぎ早に打つ」と吉澤社長は強調 Photo by Toshiaki Usami

──6月に音声認識AI(人工知能)の戦略を発表しました。ビジネスモデルについてはどう考えているのですか。

 音声認識AIでは、AIスピーカーなどの端末ばかりに注目が集まっています。ですが、われわれは端末ビジネスだけを考えているわけではありません。

 今後、多くの端末同士がつながることは重要ですが、そこで何らかのサービスを実現するためには、ユーザーとの取引を生む、サービスの提供者が欠かせません。そうしたパートナーへと、しっかりつなげることが必要なのです。

 われわれはAPI(機能などを使うための仕様)をオープンにするという言い方をしています。ドコモとして、サービスのプラットホームを作っていて、そのAPIを公開し、「どうぞ皆さん使ってください」という戦略です。

 端末メーカーが、流通業やサービス業など全ての企業とタイアップしていくことは大変ですよね。ですから、まずわれわれがコネクションをつくり、サービス提供者への窓口をオープンにするのです。

 先日の会見では、高島屋や「食べログ」などを運営するカカクコムの参加を発表しました。こうしたサービス提供者をもっと増やしていきます。そして、デバイスで参入したいメーカーには、われわれのAPIは便利なのでぜひ使ってくださいという考え方です。

──APIの公開だけでは収益は得られません。音声などのデータ通信料を増やすことが目的なのですか。それともサービスの使用料で稼いでいくのですか。