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スパイ端末!? と酷評された「アマゾン・エコー」が
テスト販売で大好評の理由

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第352回】 2015年7月9日
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アマゾン・エコーとは何か

「アマゾン・エコー」の使用イメージ(提供:amazon.com)

 アマゾンが、「Amazon Echo(アマゾン・エコー)」の一般への配送を来週7月15日から開始する。

 アマゾン・エコーは、同社が昨秋発表した家庭用のパーソナル・アシスタント・デバイスだ。ちょうどスマートフォンで機能するSiriやOK, Googleのように、ユーザーの問いかけに対して返事をしたり、調べ物をしたりする。

 スマートフォンと異なるのは、モバイルではなく家庭用の据え置き型であることだ。直径約8センチ、高さ23.5センチの円筒型で、全方位スピーカーも兼ねている。自然言語処理が可能なので、話しかけると内容を理解し、音楽をプレイしたり今日の天気を調べてくれたりするのだ。

 アマゾン・エコーが発表された昨秋、一般の反応は比較的冷たいものだった。いつもユーザーの家庭で聞き耳を立てるこのデバイスは、アマゾンのスパイのようなもので、人々の会話をモニターし、ユーザーたちのプロフィールを構築し、どこかでアマゾンの商品を売りつけたりするのだろうというわけだ。ところが、いったんふたを開けてみると、エコーの評価はすこぶるいいのである。

 昨秋の発表以降、アマゾンは限られた人々に招待制でエコーを販売してきた。そうした人々がアマゾンにレビューを送っているのだが、その数が現時点で2万2000件近い。しかも5つ中4.5星の評価がついている。デバイスとしてはかなりの人気と言える。

 アマゾンは、これまでもキンドルやスマートフォンなどいろいろなハードウェアを独自に開発して販売してきたが、その中にはあまりに先端的、あるいは不必要な機能を搭載しているなどの理由でコケた製品も数々ある。ところが、現在の走り出しを見る限り、エコーは快調なのだ。

 アマゾンでのユーザー・レビューやメディアでのレビューを見ると、評価されているのは以下のような点だ。「アマゾンは、刻々と機能を加えている」「持ち歩かなくていいのは助かる」「ただ話すだけで理解するのは、すごい」「音声認識は、勘違いすることもあるが、悪くない」など。そして、「毎日使っている。リビングルーム用にもう1個買おうと思っている」「IoTの電気製品や照明を音声でコントロールできるので、車椅子利用者の夫にとってはライフライン」という意見まである。

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瀧口範子 [ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。


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