今年4月、宅配便最大手のヤマト運輸は、「働き方改革」に取り組むと発表した。同社では、アマゾンなどのネットショッピング利用の拡大に伴い、宅配便の配達量が急増。配達作業全体の2割を占める再配達の負荷も重く、現場の社員が長時間労働を強いられている。「デリバリー事業の構造改革」と銘打った今回の改革案は、そうした労働環境の悪化に対応するものだ。

 改革案に含まれるのは、配達員の休憩時間確保のための配達時間帯の指定区分「12-14時」の廃止、負荷が集中する「20-21時」の「19-21時」への変更、運送料金の値上げなどだ。

 一方、経済産業省が今年4月に発表した日本のEC(電子商取引)市場に関する調査結果によると、2016年の物販系分野の個人向けECの市場規模は8兆43億円で前年比10.6%増。だが、物販全体に占めるECの割合(EC化率)は5.43%とまだまだ小さい。そのため、今後も物販系の個人向けEC市場は増大すると予想できる。

 つまり、宅配業務の負荷は今後もますます増大するということだ。今回のヤマト運輸の改革案には短期的な負荷軽減効果はありそうだが、根本的な解決にはならないように感じる。

 本書の著者、松岡真宏氏と山手剛人氏も、今回の対策では「宅配問題の根底にある『構造』には少しもメスが入らない」と指摘している。