痴漢は許せない卑劣な犯罪行為である一方で、やっていないのに疑われる痴漢冤罪もまた大きな社会問題となっている。特に満員電車で毎日通勤するビジネスマンにとって、いまや痴漢冤罪は女性の痴漢被害と同様に、大きな脅威。女性も男性も痴漢に悩んでいるのが実情だ。痴漢そのものをストップさせれば、冤罪も減るはず。その現状と対策法などを探った。(ダイヤモンド クォータリー編集部 前原利行)
痴漢冤罪!?
線路に逃げるケースが相次ぐ
暑い日が続いている。夏になると、被害が増える犯罪の一つが痴漢だ。関東では19の鉄道事業者と警察が協力し痴漢撲滅キャンペーンを行っているが、今年はこれまでにない状況下での実施となった。
今年3月以降、痴漢と疑われて駅のホームから線路に飛び降り逃走するケースが相次いでいるからだ(下記の一覧表参照)。駅のホームは人が多くて逃げにくいが、線路は誰にも邪魔されず逃げやすい。だが、痴漢事件を数多く扱っている弁護士の中村勉氏(中村国際刑事法律事務所代表)は次のよう話す。
◎痴漢と疑われて、線路などを逃走したケース(2017年、首都圏)
3月13日 JR総武線 御茶ノ水駅
3月14日 JR埼京線 池袋駅
3月29日 JR埼京線 赤羽駅
4月5日 JR埼京線 板橋駅
4月13日 JR総武線 両国駅
4月17日 JR埼京線 新宿駅
4月25日 JR埼京線 板橋駅
5月11日 JR京浜東北線 新橋駅
5月12日 JR京浜東北線 上野駅 改札から逃走、近くのビルから転落死
5月15日 東急田園都市線 青葉台駅 電車にひかれて死亡
5月18日 JR京浜東北線 川口駅
5月25日 JR埼京線新宿駅
6月23日 JR埼京線赤羽駅