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報道も途絶えた中国高速鉄道事故のその後
中国鉄道省が唱えた「技術超越論」の終焉と
水泡に帰した先進国逆輸出の夢

2011年8月22日
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「跨越式発展」という中国語は、字面では理解しにくい。2003年に劉志軍が鉄道省大臣就任直後に打ち出した方針だった。「一定の歴史条件のもとでは、後発組は先発組のいくつかの発展段階を超越して、追いつき、追い抜くことは可能だ」と劉は説明していた。技術超越論の始まりだった。収賄などの罪で2011年2月に鉄道省大臣を罷免された劉は、北京かどこかの鉄格子の付いた部屋の中から、世界一の時速350キロで走る高速鉄道の列車、7月23日に40人の命を奪った事故、その後の鉄道省における全面的な立て直しをどう見ているだろうか。少なくとも、劉は自分がぶち上げた技術超越論が終焉したと感じているに違いない。(在北京ジャーナリスト 陳言)

途上国から先進国へ輸出する
初の戦略的ハイテク・プロジェクト

 もし7月23日の大事故がなければ、中国高速鉄道は、途上国から先進国へ輸出する初の戦略的ハイテク・プロジェクトになっていたかもしれない。

 北京―上海間の高速鉄道を7月1日、すなわち中国共産党設立90周年という記念日に運行することは、国内外から大変疑問視されていた。7月7日、それに反撃する形で、鉄道省宣伝部長の王勇平はあえて国営通信社の新華社ネットに足を運び、高速鉄道を喧伝した。

 「言うまでもなく、(日本の)新幹線は北京―上海間の高速鉄道とはまったく違う範疇のものだ。速度から見ても乗り心地から見ても、また線路の上の部分も線路の下で見えない技術も、両者の差はあまりにも大きい」と、王スポークスマンは、日本より中国の鉄道技術の素晴らしさを強調した。

 抽象的な話では、中国メディアも納得しなかった。王スポークスマンはさらにデータをあげて説明した。

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