2013年春に行われる第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に、日本野球界が「現状では参加できない」という姿勢をとっている。

 ご存じの通り、日本は06年の第1回大会、09年の第2回大会を連覇し、日本中を歓喜させた。その王者が参加を渋っているのだ。どうしてなのか。新聞等でも取り上げられているが、改めてボイコット騒動が起きた経緯を整理しておこう。

最大の問題は利益配分
実はつつましい!?日本の要求

 騒動の口火を切ったのは7月14日に行われた12球団オーナー会議だ。過去2大会の日本への利益配分が少なすぎることが議題に上げられ、大会を主催・運営する米国の会社「WBCインク(WBCI)」に対して、収益改善を要求する交渉を行うことを明らかにした。

 これに日本プロ野球選手会も呼応する。オールスター期間中の7月22日に開かれた臨時大会で、この議題が取り上げられ条件交渉の結果次第では参加をボイコットすることを全会一致で決議したのだ。

 この1ヵ月ほど後の8月18日には日本野球機構(NPB)も選手会と共同歩調を取ることを表明。WBCIに対し、一枚岩になって利益配分改善の交渉を行っていくことを確認した。だが、WBCIは聞く耳を持たず、「日本が出なくても大会は行う」としている。

 こう書くと、日本球界は世界一の名誉のためではなく、金のためにWBCに参加するのかと思われるかもしれないが、経緯を冷静に見ていくと文句を言いたくなる気持ちも分かる。

 WBCIはメジャーリーグ機構とメジャーリーグ選手会が共同で設立した会社だ。大会の収益はこの会社が管理し、自社や参加チームに分配する方式を取っている。第2回大会を例にとると収益は約15億円。このうちの66%にあたる約10億円をWBCI(メジャーリーグ機構とメジャー選手会)が取り、残りの34%が参加チームに分配された。日本の取り分は優勝賞金を含めて13%。約2億円だったという。