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ドラッカーの慧眼

労働集約と知識集約の相違点
プロフェッショナルを活かす

Management and the Professional Employee

ピーター F. ドラッカー
【第3回】 2011年9月14日
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本稿が発表された前年、アメリカの国民所得は西ヨーロッパ諸国の国民所得の合計の約2倍であった。当時のアメリカは、世界最大の工業国であり、また農業国であり、さらに軍事国でもあった。

このようにアメリカ経済はまだら模様の時、ドラッカーは専門職の将来的重要性に焦点を当てた。そして、まだ工業社会のマネジメント・モデルすら確立されていなかった当時において、彼らを適切にマネジメントする方法は既存のアプローチとはまったく異なると喝破した。本稿の内容そのものは、いまや目新しいものではなく、むしろ当たり前のことだが、ドラッカーの慧眼をまがうことなく証明するものである。

需要に供給が追いつかない専門職

 今日(1950年代)の労働人口のなかで、最も急速に増えているのが専門職である。

 第2次世界大戦が終わった時、アメリカでは75の企業が、100人以上の専門職を抱える大規模な研究所を所有していた。当時、これは「戦時下の超過利潤税の還付金のおかげで拍車がかかった1時的な現象」といわれた。しかし、5年後の1950年、朝鮮戦争が勃発した時、このような大規模研究所を有する企業の数はほぼ2倍に増えていた。

 さらに注目すべきは、中小企業も相当数の専門職を雇い始めたことである。私が知る某企業では、第2次世界大戦前には1人しかいなかった設計エンジニアを8人に増やした。そのおかげと言ってよいのだろうが、戦後彼らは大成功を収めることとなった。

 現在アメリカには、企業内研究所が、科学に関するものだけに限っても約3000ある。また、専門職が雇用される領域も確実に広がっている。

 ほとんどの経営者と一般従業員にすれば、専門職とはいまだ研究者か、化学者を意味する。しかしここ数年の間に、物理学者が産業界で華々しいデビューを飾ったように、生物学者、地勢学者なども含め、現在企業で働く自然科学者の数は数千人に上る。しかも、経済学者、統計学者、心理学者の数は少なく見積もっても数百人規模に増えており、弁護士については言うまでもない。

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ピーター F. ドラッカーが1950年から2004年まで50年以上にわたってハーバード・ビジネス・レビューに寄稿した論文を少しずつご紹介します。
 

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