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田中秀征 政権ウォッチ

野田佳彦氏が逆転勝利できた3つの理由

田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]
【第98回】 2011年8月29日
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 民主党代表選挙は決戦投票で野田佳彦財務相が勝利し、民主党政権では3人目の首相に就任することになった。

 一時は急失速して圏外に去ったとさえ言われた野田氏がなぜ逆転して勝つに至ったのか。その勝因をいくつか挙げてみよう。

まさかの逆転劇を生んだ
野田氏「3つの軌道修正」と海江田氏の「誤算」

(1)「増税」、「大連立」、「反小沢」に関しての軌道修正

 彼は、財務省の意向を受けて、増税一直線の印象を与えていたが、復興財源も「歳出の削減、人件費や特別会計の見直し」を先行させ、その後は「時限的な税制措置」とする方向を強調するようになった。

 野田氏が主張した“大連立”は、その実現可能性が低下していることや「はじめに大連立ありきの不見識」と受け取られて不評だったが、告示後は、一転して与野党協力の形態について柔軟になった。

 「反小沢」についても、野田氏はこれまで小沢一郎氏と距離を置いてきたものの、特別、小沢氏と白兵戦を演じてきたわけではない。その点、前原誠司氏と同じように「挙党一致」 と言っても、野田氏の場合は小沢系の人たちにもより信じられやすいだろう。

 この3点の軌道修正によって野田氏側の懸念材料はかなり小さくなった。

(2)海江田万里候補の誤算

 海江田氏の1回目投票での得票は143票と意外なほど少なく、決戦投票での追加も多くなかった。結果として38票と予想以上の差がついた。

 気になったのは、彼が小沢一郎氏の支援を得て「小沢氏より小沢的」になろうとしている印象を受けたこと。

 特に“原点回帰”と言っても、あのマニフェストをそのまま実現するのは無理なことだし、そうしてほしくない人が大半だ。

 そのことに関連して“3党の政策合意”を見直すことも現実的ではない。公党間の約束の重みを理解していないと誤解された。

 TPP問題や脱原発についても消極的になったという印象を与えてしまった。

 新しい支持者を得るための努力が、今までの支持者の不信を買ったのだろう。

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田中秀征 [元経済企画庁長官、福山大学客員教授]

1940年長野県生まれ。東京大学文学部、北海道大学法学部卒業。
83年、衆議院議員初当選。93年6月、新党さきがけ結成、代表代行。
細川政権発足時、首相特別補佐。第一次橋本内閣、経済企画庁長官。
現在、福山大学客員教授、「民権塾」塾長。


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かつて首相特別補佐として細川政権を支えた田中秀征が、期待と不安に溢れた現政権の動向を鋭く斬り込む週刊コラム。刻一刻と動く政局をウォッチしていく。

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