
7月20日投開票と決まった参議院選挙。国民を直撃する物価高に各党はどう対応するのか。「物価高から、あなたを守り抜く」をスローガンに掲げる立憲民主党・野田佳彦代表に、ジャーナリストの池上彰氏と増田ユリヤ氏が直撃した。(ジャーナリスト 池上 彰、増田ユリヤ 構成/梶原麻衣子)
悶絶しながら決めた
1年間の「食料品の消費税ゼロ%」
増田 参院選では各党とも消費税減税を訴えていて、立憲民主党は来年4月から食料品に限り消費税を原則1年間、ゼロにするとしています。財政健全化を訴えて、2012年の首相時代に消費税10%への引き上げを決めたあの野田代表が?と驚きました。
野田 悶絶(もんぜつ)しながら決めました。社会保障と税の一体改革に政治生命を懸け、社会保障を持続可能なものにするためのきちっとした財源の手当てが必要だと確信を持っていましたので、消費税の引き上げを実現したことは自分としては達成感がありました。
ただ、現在の物価高の中で最も生活を圧迫しているのは食料品で、25年に値上げが見込まれる食料品は2万品を超えます。まさに民のかまどから煙が上がらなくなってきている中で、最も効果があるのは食料品の消費税を時限的にゼロにすることだと判断しました。
ただし赤字国債を発行することなく、社会保障に穴を開けないよう原則1年と期限を決めて、財源も明確にしています。
欧米では臨機応変に
変動させている
池上 今、悶絶しながら決めたとおっしゃいましたが、どういう意味ですか。
野田 消費税は、一度下げると上げるのが容易ではないといわれます。しかし欧米では臨機応変に、景気や経済の状況に合わせて変動させています。日本も同様に現実的な対応ができる国にしたほうがいいので、チャレンジしようと思います。
増田 1年間という期限を区切って食料品の消費税をゼロ%にするということですが、どのくらいの効果を見込んでこの数字にしたのでしょうか。
野田 食料品の消費税をゼロにすると、1人当たり年間約4万円程度の減税になります。24年の家計調査では、2人以上の世帯のエンゲル係数(家計の消費支出に占める食料費の割合)は28.3%で、43年ぶりの高水準ですから、効果はあるだろうと思っています。