8月3日、安倍晋三総理は第三次安倍内閣の再々改造を断行した。加計学園問題や防衛省の日報問題など相次ぐスキャンダルにより、内閣支持率は続落する一方。ついには、政権維持の“危険水域”と呼ばれる30%前後にまで低下した。そんな絶対絶命の状況で行われた今回の内閣改造。果たして安倍総理は、政権の窮地を救うような起死回生の一手を打ち出せたのだろうか。内閣改造の裏側と安倍総理の狙いについて、政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が語った。

「サプライズなきサプライズ人事」で
低姿勢と真面目さをアピール

サプライズなき人事だった内閣改造。しかし、中曽根康弘元総理を彷彿とさせるしたたかな布陣を敷き、岸田文雄氏と安倍総理の間には密約説も。安倍総理は憲法改正や自身の三選を諦めてはいないようだ(写真:つのだよしお/アフロ)

 今回の改造前には、橋下徹前大阪市長や小泉進次郎衆院議員、大物女性民間人の起用など、様々な情報が永田町を駆け巡った。

 だが蓋を開けてみると、その陣容は、再入閣組を中心に地味な議員たちが顔を並べるものだった。

 若干の驚きで迎えられたのは、前回総裁選への出馬を模索した野田聖子氏の総務大臣起用と、時には政権批判も辞さない率直な発言で知られる河野太郎氏の外務大臣起用だけ。噂されたようなサプライズ人事はなかった。

 こうした組閣の背景について鈴木氏の見解はこうだ。

「今回の組閣のポイントは、サプライズなしというサプライズ。すでに改造前から『支持率低迷の挽回のために何かやるのでは』と国民からは見透かされていました。そのため、あざとく見られるようなことをすれば、余計印象が悪くなる可能性もあった。そこで安倍総理は、その状況を逆手にとって、閣僚経験者やベテラン議員中心の組閣をしました。言うなれば、あえて派手さを演出しないことによって、低姿勢ぶり、真面目ぶりをアピールしようとしたわけです」(鈴木氏、以下同)

 だが、安倍総理の思惑はそれだけではない。先を見据えた手も打っているという。

「まずひとつは、ポスト安倍の有力候補の1人、岸田文雄氏の処遇です。今回、安倍総理は、岸田氏を本人が希望する自民党三役のひとつである政務調査会長に起用し、さらに岸田派の議員を4人も入閣させるなど厚遇しました。背景には、改造前の7月20日におこなわれた安倍総理と岸田氏のサシでの2時間の会談があります」