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2011年9月1日
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加藤嘉一

中国鉄道事故は氷山の一角でしかない。
急速な経済成長の裏にあるさまざまな危険
――激動する中国の今を加藤嘉一が読み解く。

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『われ日本海の橋とならん』を上梓した加藤嘉一氏。(撮影:疋田千里)

 7月23日に中国浙江省で起きた高速鉄道事故。現場近くに穴を掘って事故車両を埋め、また掘り返すという前代未聞の展開。……きっと多くの日本人はあきれかえり、いかにも中国的な話だと思ったのではないでしょうか。しかし、僕が中国国内にいて感じたのは、たしかな「時代の変化」でした。

 まず指摘しておかなければならないのは、今回の事故は氷山の一角にすぎず、今後こうした事故が多発していくであろう、という事実です。

 中国では、北京五輪や上海万博といった国家的イベントに間に合わせるべく、高速鉄道網など社会インフラの整備を急ピッチで進めてきました。共産党設立90周年に合わせて今年6月に開業した北京ー上海間の高速鉄道もそのひとつです。ところが、あまりにハード面の整備を急ぎすぎてしまったため、安全管理システムや人材育成などソフト面の拡充が間に合っていません。今回の高速鉄道事故では、まさに安全管理システムの不備が問題になりました。

 おそらく今後、鉄道のみならず道路や橋などの交通インフラでも同じような問題が続出してくるでしょう。特に僕が心配しているのは、急速に建設が進められてきた公共住宅です。現在、1000万戸という単位で建設されている公共住宅ですが、手抜き工事が横行していることは間違いありません。そして実際に住民が入居していく段階になれば、さまざまな欠陥が明るみに出てくるでしょう。全国各地で不満が噴出し、大きなうねりとなって中国社会を揺さぶる可能性があります。

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加藤嘉一 

1984年生まれ。静岡県函南町出身。山梨学院大学附属高等学校卒業後、2003年、北京大学へ留学。同大学国際関係学院大学院修士課程修了。北京大学研究員、復旦大学新聞学院講座学者、慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)を経て、2012年8月に渡米。ハーバード大学フェロー(2012~2014年)、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院客員研究員(2014〜2015年)を務めたのち、現在は北京を拠点に研究・発信を続ける。米『ニューヨーク・タイムズ』中国語版コラムニスト。日本語での単著に、『中国民主化研究』『われ日本海の橋とならん』(以上、ダイヤモンド社)、『たった独りの外交録』(晶文社)、『脱・中国論』(日経BP社)などがある。

 


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