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経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

「ジャパナイゼーション」の復活で
世界に広がる信用収縮
――高田創・みずほ総合研究所チーフエコノミスト

島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト],高田 創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト],森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト],熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]
【第37回】 2011年9月7日
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「Japanisation」とは

 7月以降、急速に海外のメディアで「Japanisation」(日本化現象)という概念が話題になった。実は、ちょうど1年前にも、類似した概念が市場で話題になり、筆者はこの1年あまり、ストーリーラインとしてこの用語を用いることも多かった。

 実際に、筆者が昨年発表した著作『世界国債暴落』 のサブタイトルは、「世界を蝕む日本化現象」とした。昨年、夏にかけて米国では一部にデフレ不安が生じ、2010年11月に行なわれたFRBのQE2は、まさにデフレを回避させるためのものだった。

 実際に、QE2に伴う株価の大幅な回復、さらに原油価格上昇に転じたことで、逆にインフレ懸念も生じた。その結果、2011年初にはデフレや「Japanisation」とういう概念はほとんど目にされない言葉になっていた。

 それが再び、亡霊のように市場の話題に浮上したのが、7月以降である。以下のように、欧米の有力メディアがそろって「日本化」を取り上げるようになった頻度は、昨年以上の状況である(図表1参照)。

 今年、改めて「日本化」の言葉が用いられるようになったのは、欧米市場での先行き見通しが大幅に下方修正されたことが大きい。7月以降、米国においては債務上限問題が政治問題化し、さらに8月にはS&P社が米国国債を格下げするに至った。

 加えて、2012年の大統領選挙を展望し、オバマ大統領の批判勢力である共和党の戦略としても、「Tea Party」の動きに示されるように、財政緊縮バイアスを強めて景気の足を引っ張ることを戦術にしやすい。

 みずほ総合研究所は、8月に発表した2011年と2012年の米国の成長率見通しを、それぞれ+1.6%(前回+2.5%)と1.4%(前回+2.1%)に大きく下方修正させた。その主因は、底流にバランスシート調整が続く中、財政緊縮が制度化・政治化して加わることを重視したことにある。

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島本幸治 [BNPパリバ証券東京支店投資調査本部長/チーフストラテジスト]

しまもと・こうじ/1990年、東京大学卒業、日本興業銀行入社。調査部門で金利分析や経済予測を担当。2000年からBNPパリバ証券で投資調査本部長兼チーフストラテジストとして金融市場予測を担う。日本経済新聞社の債券アナリスト・エコノミスト人気調査の債券部門では06、08年に1位。金融庁の金融市場戦略チームや金融税制研究会、行政刷新会議の事業仕分けなどに参加。

高田創 [みずほ総合研究所 常務執行役員調査本部長/チーフエコノミスト]

たかた はじめ/1958年生まれ。82年3月東京大学経済学部卒業、同年4月日本興業銀行入行、86年オックスフォード大学修士課程修了(開発経済学)、93年審査部、97年興銀証券投資戦略部、2000年みずほ証券市場営業グループ投資戦略部長、06年市場調査本部統括部長、チーフストラテジスト、08年グローバル・リサーチ本部金融市場調査部長、チーフストラテジスト、11年より現職。『銀行の戦略転換』『国債暴落』『金融市場の勝者』『金融社会主義』など著書も多い。

森田京平 [バークレイズ証券 チーフエコノミスト]

もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総研入社。98年~2000年米ブラウン大学大学院に留学し、経済学修士号を取得。その後、英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所経済調査部を経て、08年バークレイズ・キャピタル証券入社。日本経済および金融・財政政策の分析・予測を担当。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)など。2010年7月より、参議院予算委員会内に設置された「財政再建に向けた中長期展望に関する研究会」の委員を務めている。

 

熊野英生 [第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト]

くまの・ひでお/第一生命経済研究所経済調査部首席エコノミスト。 山口県出身。1990年横浜国立大学経済学部卒。90年日本銀行入行。2000年より第一生命経済研究所に勤務。主な著書に『バブルは別の顔をしてやってくる』(日本経済新聞出版社)など。


経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層

リーマンショック後の大不況から立ち直りつつあった日本経済の行く手には、再び暗雲が立ち込めている。留まることを知らない円高やデフレによる「景気腰折れ不安」など、市場に溢れるトピックには、悲観的なものが多い。しかし、そんなときだからこそ、政府や企業は、巷に溢れる情報の裏側にある「真実」を知り、戦略を立てていくことが必要だ。経済分析の第一人者である熊野英生、高田創、森田京平(50音順)の4人が、独自の視点から市場トピックの深層を斬る。

「経済分析の哲人が斬る!市場トピックの深層」

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