モレスキンは単なるノートではない。人生そのものを「入れる」ことのできる特別なノートなのだ。なぜ、人はこのノートに夢中になるのか。なぜ、これほどまで世界中で愛されるのか。その魅力の秘密を紹介する。
人生そのものを「入れる」ノート
iPhoneやiPadといったスマートフォン、デジタル機器が隆盛を誇るなかで、1世紀以上にわたって多くのファンの支持を集め続ける紙のノートがあります。黒い表紙にゴムバンドがトレードマークの「モレスキン」です。
ノートといえば大学ノート、手帳といえばシステム手帳で十分という人もいるかと思いますが、それだけでは飽き足らない大勢のファンにモレスキンノートは支持されています。
その利用方法はもう単にノートを使いこなすというレベルではなく、人生そのものを「入れて」いると表現するのがよいほどです。
何がファンをモレスキンノートに引きつけるのでしょう? 他のノートからは得られないモレスキンノートの魅力とはなんでしょう? これから6回にわたる連載で、モレスキンノートの魅力に迫っていきたいと思います。
うかつに触れたら、引き返せないほどのモレスキンの魅力。あなたも、その表紙を開いて見ませんか?
モレスキンノートとは何か?
フランスの製本業者の間で1世紀以上前から愛用されていた黒革のノートがモレスキンノートの原型となっています。ヘミングウェイ、ピカソ、ゴッホなど、多くの著名な作家や芸術家が利用していたことから「伝説のノート」という異名さえ持っています。
しかしモレスキンノートそれ自体は、なんの変哲もないノートに過ぎません。長い伝統に裏打ちされた作りが、普通のノートでは得られない紙面の豊かさを生み出しているのです。
例えば罫線ならば、ページ全面を埋めるシンプルなつくりが、無駄のない紙面を生み出します。どんなに間にものを挟んでも落とすことがないように付けられたゴムバンドも、ふくらむノートを支えます。また、小物を入れておくことができる拡張ポケットも、モレスキンノートのシンボルです。
システム手帳のように決められた機能を提供するのではない、このシンプルさが、かえって利用者のあいだで自分だけの使い方を触発することになったといえそうです。