【9つの資格に独学合格】ダブル受験を成功させる「たった1つのコツ」
働きながら3年で、9つの資格に独学合格! 大量に覚えて、絶対忘れないノウハウとは?
「忘れる前に思い出す」最強のしくみ、「大量記憶表」を公開!
本連載の著者は棚田健大郎氏。1年間必死に勉強したにもかかわらず、宅建試験に落ちたことをきっかけに、「自分のように勉強が苦手な人向けの方法を編み出そう」と一念発起。苦労の末に「勉強することを小分けにし、計画的に復習する」しくみ、大量記憶表を発明します。棚田氏の勉強メソッドをまとめた書籍、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』の刊行を記念して、メソッドの一部を公開します。

ダブル受験を成功させる「たった1つのコツ」とは?
本日は、資格試験における「ダブル受験」についてお話しします。
まず、ダブル受験は「危ない橋」ではありません。危ないと感じてしまうのは、複数の資格を同時に狙う際に学習の進め方を誤り、時間と労力を分散させ過ぎてしまうからです。学習にまつわる不安の大半は「自分がいま、どこまで理解し、どこが手つかずなのか」が見えていないことに起因します。したがって、マンション管理士と管理業務主任者のように試験範囲が重なる資格を同時に目指すときこそ、進捗を資格ごとに分けて管理し、可視化することが欠かせません。
その際は、私がオススメしている「忘れる前に思い出す」仕組みである大量記憶法を活用しましょう。詳細は拙著『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』をご確認ください。

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計画表は必ず二つ作り、それぞれに「いま何を繰り返していて、どこが弱点か」を示しておく――これだけで漠然とした不安は大幅に減ります。
ここでマンション管理士と管理業務主任者の本質的な違いを押さえましょう。管理業務主任者はマンション管理会社に必置義務が課されている、宅建士に似た“実務必須”の国家資格で、四つの独占業務(管理受託契約に関する重要事項説明、同説明書への記名押印、契約書への記名押印、管理状況の報告)が法律で定められています。
一方、マンション管理士には独占業務が一つもありません。名称を独占できる、いわゆる名称独占資格で、管理組合側のコンサルタントとして独立開業を視野に入れた“専門家資格”です。だからこそ試験難易度は高めですが、合格しただけで食べていけるわけではなく、現場経験と提案力があってこそ真価を発揮します。転職を主目的にする場合、管理会社がまず欲しがるのは管理業務主任者という“必置資格者”である点を忘れないでください。
では、実際に二つをどう攻めるか。最初に決めるべきは「どちらが第一志望か」です。
ダブル受験、成功のコツ「第一志望を完璧にして、あわよくばで第二志望を攻める!」
第一志望を8~9割の完成度まで仕上げるまでは、他方の勉強に手を広げない。たとえば管理業務主任者を本命にするなら、10月までは管理業務主任者だけを徹底して学び、マンション管理士の直前1か月で初めて“マン管固有”の過去問と条文対策に集中する。マン管本命なら逆に、マン管を85%まで高めてから管理業務主任者を7割ほどに仕上げれば充分です。私は宅建・マン管・管業のトリプル受験でこの方法を取り、本命の宅建が終わるまで他の二つに手をつけませんでした。結果、集中力を一点に集めるリスク管理が功を奏し、すべて一発合格できたのです。
「二つを7割ずつ並行させて最後にまとめて追い込めばいい」と考えるのは、実は最も危うい橋です。7割の完成度だと落ちる確率が3割ほど残り、最悪の場合“両方不合格”もあり得ます。
年に一度の試験を無駄にしないためにも、本命一本を完璧にするつもりで学習し、もう一方は「あわよくば」のスタンスで直前期に仕上げる――これがダブル受験を安全に渡り切る最善策です。受験料が惜しいと感じるかもしれませんが、合格可能性が6割を超えるなら、1年を丸ごと使い直すよりも今年のうちに挑戦しておく価値は十分にあります。
最後にもう一度強調します。ダブル受験が危ないのではなく、学習時間の分散を放置するやり方が危ないのです。大量記憶法で各資格の進捗を完全に見える化し、本命を先に固める。この基本さえ守れば、マンション管理士と管理業務主任者のダブル合格は十分に狙えますし、来年に持ち越すよりはるかに効率的です。長い学習期間を重ねるごとにモチベーションは下がるもの。いま持っている勢いのまま、正しい順序と管理で一気に駆け抜けてしまいましょう。
(本原稿は、『大量に覚えて絶対忘れない「紙1枚」勉強法』の一部抜粋・追加加筆したものです)