何をやれば高視聴率が取れるのか。視聴者のテレビ離れが一段と進むなか、テレビ局の制作現場は日々悩み続けている。視聴率競争で消耗する現場の内情を斬る

視聴率競争が激化するなか
朝の時間帯に起きた「異変」

「血に飢えた視聴者」――。テレビ局の制作現場でよく聞かれる言葉だ。何をやれば高視聴率が取れるのか。確固たる方程式はなく、解明する術がない……。日々、悩み続ける彼らには、視聴者が「吸血鬼」に見えるらしい。

 インターネットが急成長し、メディア激変の時代を迎えるなか、視聴者のテレビ離れが言われて久しい。視聴率の低迷はテレビ局にとって死活問題である。民放の屋台骨を支えるのは、スポットCMなどを通じてクライアントに「視聴率を売る」ことによってもたらされる収益だからだ。事業の多角化も進んでいるとはいえ、テレビ局が売上を伸ばすには、基本的に番組の視聴率を上げ、広告単価を上げるしかない。

 それが以前よりも難しくなった今、テレビの現場にはこれまで以上に「視聴率至上主義」が蔓延し、様々な試行錯誤が行われている。企業にとっては目先の利益を追求することも大事だが、なかにはそれが高じて、テレビマンのモラル低下、ひいては番組の質低下を招いている、本末転倒な事例も見られる。

 視聴者を「吸血鬼」呼ばわりする現場の空気が、悩み深い状況を物語っていると言えよう。

 長年にわたってテレビの現場を見続け、そこで働くテレビマンの声を聞いてきた筆者は、こうした現状に強い危機感を抱いている。テレビの現場で今、何か起きているのか。その実態をお伝えしよう。

 はじめに、意外性や場当たり的なことが視聴率に大きな影響を与えることがわかるエピソードを1つ。各局がニュース・情報番組でガチンコ勝負をする朝の時間帯で、ある「異変」が起きたのをご存じだろうか。

 東京エリアでこの時間帯、20年以上も民放4位に甘んじていたテレビ朝日が、業界トップをうかがうまで視聴率を伸ばしているのだ。実はその立役者は、かの有名な時代劇ドラマ『暴れん坊将軍』だという。