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飯田哲也の新・エネルギー原論
【特別編】 2011年9月13日
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飯田哲也 [環境エネルギー政策研究所所長]

孫正義氏が設立した自然エネルギー財団が本格始動
自然エネ普及にとどまらぬアジア・グリッド構想とは?

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 トーマスは物理学を専門とし、過去には大学で教えながら環境NGOのトップを務め、バイオマスをはじめとする自然エネルギー政策や電力市場政策、そして原子力政策にも精通している。今のところ、1年間のうち4分の1程度は日本に滞在する予定で、この財団と研究に打ち込もうとする意気込みが伝わってくる。

 この財団の活動に、大きく期待してもらいたい。

国内の自然エネルギー普及策は
首相交代で何ら影響受けず

 翻って、日本の自然エネルギー政策も、この数ヵ月で大きく前進した。

 きっかけは、(太陽光や風力など自然エネルギーによる電気をすべて買い取ることを取り決めた)再生可能エネルギー特別措置法の成立である。首相交代のすったもんだは、政策進展になんら影響ない。

 素案時点で懸念された二つの点も、今回は珍しく政党間協議のなかで改善された。

 一つは、自然エネルギー電力の買取価格を、それぞれ技術ごとの平均的なコストをベースに決めることになったことだ。素案にあったエネルギー全種について一律価格にする点が消えた。

 もう一つは、その買取価格の決定が、経済産業省が集めた電力会社や御用学者ばかりの従来からの総合資源エネルギー調査会でなく、国会が人事同意した新たな委員会でなされるようになったことだ。この委員会は経産相の諮問機関ながら、独立性が高く、そう簡単には電力会社や官僚の言いなりにはならないだろう。

 今後、この委員会で協議されるため、実際の価格は来年までわからない。恐らくメガソーラーの買取条件が、15-20年間で1キロワット時35-40円程度になるのではないか。であれば、IRR(内部収益率)3-4%は期待できるはずで、十分な投資効率だと考えられる。

 現在施行されている(家庭用の余剰電力のみを10年だけ買い取る)中途半端すぎる余剰電力買取制度でも、昨年だけで100万kW設置が広がった。恐らく、今年度一杯で間違いなく昨年を越えて150万~200万kWまで増えるとみている。

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飯田哲也 [環境エネルギー政策研究所所長]

1959年、山口県生。京都大学原子核工学専攻修了。東京大学先端科学技術研究センター博士課程単位取得満期退学。大手鉄鋼メーカー、電力関連研究機関で原子力の研究開発に従事した後に退職。現在、非営利の研究機関の代表を務めつつ、複数の環境NGOを主宰し、科学者でもある。自然エネルギー政策では国内外で第一人者として知られ、政策提言と積極的な活動や発言により、日本政府および東京都など地方自治体のエネルギー政策に影響を与えるとともに、国際的にも豊富なネットワークを持つ。主著に『北欧のエネルギーデモクラシー』、共著に『グリーン・ニューディール―環境投資は世界経済を救えるか』(NHK出版)、『日本版グリーン革命で 経済・雇用を立て直す』(洋泉社新書)、『自然エネルギー市場』(築地書館)など。5月に『今こそ、エネルギーシフト 原発と自然エネルギーと私達の暮らし』(岩波ブックレット/共著)を刊行予定


飯田哲也の新・エネルギー原論

東京電力・福島第一原子力発電所の事故は、私たちに様々な問題を提起した。夏場の電力不足への対応という短期的課題だけでなく、原発存続の是非や、電力の供給体制のあり方といった中長期的な政策に及ぶ議論が一気に噴出している。エネルギー政策の第一人者として知られる飯田哲也・環境エネルギー政策研究所所長が、問題の本質をひもとき、合理的な解決策を探求する。

「飯田哲也の新・エネルギー原論」

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