北朝鮮が発射した弾道ミサイルは、日本列島を越えた (「労働新聞」より)

地政学的リスクが高まったのに
円が「安全資産」はおかしい

 日本時間8月29日早朝、北朝鮮が弾道ミサイルを発射し、日本の上空を通過した。これを受けて国際金融市場では緊張感が高まり、109円25銭前後で推移していた円相場は、一気に108円50銭前後にまで円高となった。

 国際金融市場が緊張すると、円高になるケースが多く、「安全資産である円が買われた」との解説がなされることが多い。今回も、そうした解説が散見された。しかし、今回は日本の上空をミサイルが通過したわけで、世界の地政学的リスクの中で最も悪化したのは日本なのである。一方、ドルは世界最強の軍事大国の通貨。円がドルに対して強くなった理由が、「安全資産だから」というのは到底納得できない。

「安全資産だから円が買われた」という説明は、リーマンショック以降、広く定着したと記憶している。リーマンショック時は、欧米の金融システムに激震が走る一方で、日本は金融システムが比較的安定していたので、「ドルもユーロも買えないから、消去法で円を買った」という話が随所で聞かれ、「確かに円は安全資産だ。だから危機が深刻化すると円が買われるのは当然だ」と納得したものである。