グーグルが検索結果を順位付けするルールを変更し、その煽りを食った中小企業がSEO会社に駆け込んでいる。
SEOとはSearch Engine Optimizationの略で、グーグルなどの検索サイトで、自社サイトが検索結果の上位に来るようにするテクニックのこと。検索サイトはユーザーに役に立つと思われる順番で検索結果を表示するが、いくつも組み合わされているその判断基準を分析して、対策を打つのだ。
その判断基準の一つに、人に紹介したくなる、すなわちリンクを張られたサイトは良質だとするものがあると言われる。
そのためSEO対策として、自ら作ったダミーサイトに自社のリンクをいくつも張ったり、業者から自社のリンクを買ったりする“裏技”が横行していた。
そうした行為をユーザーのためにならないと嫌ったグーグルは、ついにルールを変更。他国と同様、日本でも今年の6月下旬から、“裏技”を利用しているサイトに対して一斉に警告を発し始め、検索結果から排除した。
自社で最新技術を研究しているSEO会社、セルフデザイン・ホールディングスの古澤暢央CEOによれば、中小企業からの相談を聞くと、「自社サイトへのアクセス数が半分や3分の1に激減したケースがざらにある」という。特に自社サイトで商品を通信販売していた会社などは、大ダメージを被っているのだ。
これまでもグーグルによるルール変更は何度も行われてきたが、「リンクがごっそり無意味化するなど、今回の影響は大きい」(古澤CEO)という。
ルール変更後、しばらくはその影響に気づかなかった中小企業も、自社サイトが検索で表示されないことや、売上が落ちていることから徐々に影響に気づき始め、SEO会社に泣きついてきたというわけだ。
これまでグーグルの日本サイトは、米国と比べて“裏技”に対する取り締まりが緩かったと言われてきた。その理由として、1バイト文字圏と呼ばれる英語圏で作成した取り締まりルールを、2バイト文字圏の日本語に適用することが難しいことなどが挙げられる。
それゆえ、他のSEO会社が発信している二次情報で商売をする、質の低いSEO会社が跋扈してきた。今回、検索順位の下落で打撃を受けた中小企業は、こうした“生兵法”で商売をしているSEO会社を利用していた企業が多かったという。
そうした質の低いSEO業者は、「自社での研究成果や具体的なSEO対策の説明を求めれば、すぐに化けの皮がはがれる」と、古澤CEOは語る。
インターネットを販売や宣伝ツールとして活用する企業には、グーグルが目指すコンテンツ価値の高い情報の掲載という方向性に合致した、本質的なSEO対策が望まれる。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)