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【エイチ・アイ・エス】
ハウステンボスの営業利益が黒字化
問われる海外旅行とのシナジー効果

週刊ダイヤモンド編集部
【第40回】 2011年9月22日
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エイチ・アイ・エス(HIS)が子会社化したハウステンボスは、今年9月期に開業以来初の営業黒字に転じる見通しだ。決算数字から澤田秀雄・HIS会長の次なる狙いに迫った。

 ハウステンボス(長崎県佐世保市)は1992年に開業した巨大なテーマパークで、東京ディズニーランドよりも広い。だが、総工費2200億円という巨額な投資負担と入場者数の落ち込みから、2003年に経営破綻。後を継いだ野村プリンシパル・ファイナンスも、再建できなかった。

 HISは10年4月に、20億円を出資して子会社化した。残りの10億円は九州電力などの地元企業の出資による。HISは引き受けに当たり、60億円あった債務の8割の債権放棄を要求するとともに、出資金は返済に充て、事実上の無借金を実現。しかも、佐世保市から固定資産税の減免分に相当する「再生交付金収益」を10年間にわたり受け、「うまくいかないときは3年で撤退する」という条件をつけるなど、スキームはしたたかだ。 

 「週の半分以上はハウステンボスにいる」(HIS幹部)ともいわれる澤田会長はハウステンボス社長として陣頭指揮を執ってきた。図①は、ハウステンボスの売上高と営業利益、入場者数を示したものだ。HISの傘下に入った当初は12年度に営業利益で黒字化する見通しだったが、11年9月期に開業以来初となる営業利益の黒字化が実現しそうだ。

 澤田会長が打ち出した戦略は「売上高の2割増と経費の2割減」。場内の3分の1を無料ゾーンとし、有料の3分の2の部分に経営資源を重点投下してきた。場内の売店やレストランを整備し、営業時間を長くしたり、閉鎖中の建物をミュージアムとしてオープンさせるなどして、「にぎわいが少ない」というこれまでの客の不満解消を図ったのだ。

 集客拡大に向けて値下げもした。従来の大人3200円の入場料を、通常期2500円、ピーク時3000円に引き下げ、夕方の入場料を期間限定で1500円とするなど、おトク感を演出した。

 全体の1割強を占める韓国や台湾からの入場者が東日本大震災や原発問題で激減しているにもかかわらず、11年9月期の年間入場者数を20%増と見込むのは、10~20代の若者の取り込みに成功しているためだ。人気アニメ「ワンピース」のアトラクションの整備やAKB48のコンサートなどは、20代の若者マーケットに強いHISならではの企画である。他方、これまでの年配客を逃さないように、ガーデニングやイルミネーションにも力を入れてきた。

 もっとも、ハウステンボスの再建はまだスタートを切ったにすぎない。11年度予想の185万人という入場者数も、ハウステンボスのピーク時(96年度の380万人)に比べれば半分にも満たない。

 また、この185万人は、前年度に比べれば2割増でも、じつは09年度並みだ。図①のとおり、当時の売上高が154億円であるため、単価はざっと2割、落ちている。値下げ戦略が成功したといえる水準にはなっていない。

 ましてや、開業から20年もたつ施設は老朽化しており、一説に年間20億円ともいわれる補修などの費用も必要になる。ハウステンボスの収益力向上は急務である。

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