文部科学省の有識者会議は、国立大学付属校の入試について、テストではなく抽選で選ぶなど、「学力偏重」を是正せよとの報告書をまとめた。付属校が「エリート化」し、「本来の役割」を果たせていないことが問題だという。だが、この方針は、新たな問題を発生させそうだ。久留米大学商学部の塚崎公義教授が解説する。
国立教員養成大学の附属学校は
エリート教育をやめるべきとの答申
文部科学省の有識者会議は8月29日、報告書を公表した。国立教員養成大学の付属学校に対し、学力テストに偏らない入学者選考を導入するように促す内容である。
こうした高校の本来の目的はエリート教育ではないのだから、入学試験に抽選を導入するなどの改革が必要だ、という理屈だ。
これは、筑波大学附属駒場高校、東京学芸大学附属高校、筑波大学附属高校といった学校が、東京大学の合格者高校別ランキングの常連となっていることに“異議”を唱えるものである。
「建前」はそうかもしれない。だが、世の中には建前を押し通すと悪い結果が生じる場合も多いから注意が必要だ。