前二輪が連動して傾くバイクの技術を多くの人に分かってもらおうと、ヤマハ発動機がつくった「LMWベビーカー」。さまざまな障害物をものともしない“走り”のWeb動画広告はユニークだ(試作品で、市販の予定はありません)

 技術者たちの汗の結晶、業界通なら誰もが舌を巻く画期的な新製品…ではありながら、一般消費者にはなかなかその真価を理解してもらえず、価格の割高さばかりが槍玉に挙げられる――。

 技術立国日本には、そういったマーケットの不理解に技術者が悩み、経営陣が頭を抱える例が、それこそあちこちにあるのだろう。

 ヤマハ発動機が2014年9月に発売した「トリシティ125」は、前二輪が連動して傾く三輪式のスクーター。同様の機構としてはイタリアのピアジオ社が06年に発売したMP3シリーズがすでにあったが、こちらはヤマハが1970年代から温めてきた三輪バイク構想のひとつの到達点として独自開発で完成させたもので、信号停止時に自立するロールロック機構をあえて省くなどの選択と集中が随所に光る。

 この「トリシティ125」は、別次元ともいえる旋回性能と制動性能がライダーに高く評価され、17年1月には高速道路/自動車専用道路も走行可能な155ccモデルが新設計のフレームやエンジンを導入して発売され、数ヵ月の納車待ちが発生する人気ぶりになっている。

ヤマハ「トリシティ125」 Photo:DOL

 だがその好評が、長年のオートバイ愛好者や業界内だけに留まり、外に広がっていかない悩みがヤマハにはあった。三輪ゆえの安定性から、これまでスクーターの利用を億劫に感じていた女性などに選んでもらえるポテンシャルがありながら、バイクに乗らない人にはなかなか振り向いてもらえなかったのだ。

 そこでヤマハが打ち出した奇策が、「LMWベビーカー」のWeb広告だ。トリシティに採用された前二輪の傾き機構「LMW(リーニング・マルチ・ホイール)テクノロジー」の概念をベビーカーに応用し、トリシティと同じように傾くことによる安定性のメリットを広く一般にアピールしたのだ。

 百聞は一見に如かず。まずは次のページで、人気イクメンインスタグラマー「クレイジーパパ」が、LMWあり/なしの違いを実演した動画をご覧いただきたい。