なぜ、あれほど大切な出来事も思い出せないのか? 記憶はまったく当てにならない。そして、記憶は時に嘘をつく。都合よく解釈された過去の思い出は今の自分とつながってはいないのだ。スマートフォンの登場でますますライフログへの関心が高まるなか、自分の人生をより良くするための「人生記録法」について、日本一Evernoteに詳しい大人気ブログを主宰する五藤隆介氏が、5日間連続で初心者でもわかるように解説する。記録は面倒だという人が多いが、大の「面倒くさがりや」だという五藤氏のライフログ実践法は、誰でも簡単に始められるものばかりである。
 

 ライフログという言葉を最近よく目にするようになってきました。

 ライフログとは、文字通り「人生(ライフ)」の「記録(ログ)」を意味する言葉ですが、ではいったい「ライフログを残す」とは、どのようなことを意味するのでしょうか? また、それを残すことでどのような「メリット」があるのでしょうか?

 私は「ライフログを残す」ことのメリットは、大きく3つあると考えています。

(1)ライフログは人生の「再体験」のきっかけになる
(2)ライフログを通じて人生の視点が広がり、発見の目が養われる
(3)ライフログを残し、それを見返すことで自己の成長につなげやすくなる

人生を再体験するトリガー

 まず私は、ライフログとは「人生を再体験するためのトリガー」だと考えています。自分が生きてきた人生は、自分以外では決して体験できない、自分だけのかけがえのないものです。

 しかし、それを「記憶」しておくのは容易なことではありません。ただ「記憶」しておくだけでは、すべての体験は徐々に風化し、失われていってしまいます。たとえば、私の「ライフログ」に、こんな一言が残っています。

「2010年6月18日 Hさんとはじめて会った」

 たったこれだけの「記録」があるだけでも、その日どこに行ったのか、どんなことを話したのか、その時の出来事を「再体験」し、思い出すことができます。

 こういった出来事は、自分がどれだけ大切だと思っていることでも、月日が経てば思い出せなくなってしまいます。

 決して忘れたわけではありません。しかし、忙しい毎日を過ごしていると、どんな大切な出来事であろうとも、何かきっかけがないと思い出すことができなくなってしまうのです。

 そういった大切な出来事を「再体験するためのトリガー」がライフログなのだと考えています。